王位戦、女流王位戦(いずれも神戸新聞社主催)覇者による対談をお届けします。藤井聡太王位(21)と里見香奈女流王位(31)。藤井王位は伊藤園お~いお茶杯第64期王位戦7番勝負で、佐々木大地七段(28)を4勝1敗で破り4連覇。2023年10月に史上初の八冠制覇も成し遂げ、その活躍ぶりがますます注目を集めます。里見女流王位は第34期女流王位戦5番勝負で、伊藤沙恵女流四段(30)を3勝1敗で退け5連覇。通算9期目の女流王位獲得となりました。
-2023年を振り返ると?
藤井 王位戦7番勝負は第3局が印象深いです。中盤から終盤にかけて難解な局面が続く難しい将棋でした。棋王、名人、王座の3棋戦はタイトルに挑戦でき、その中で結果を残せたので充実していたと感じています。
里見 女流王位戦5番勝負は第1局で熱戦の末に負けてしまい、自分の弱さを知ることができました。一年を通じて良いところも悪いところもありましたが、全力で戦えました。いろんな方との対局で自分の弱点も見えたので、修正できればと思っています。
-藤井王位から見た、里見女流王位の印象は。
藤井 終盤の切れ味の鋭さは、里見女流王位の持ち味ですが、最近の将棋を見ているとそれだけではなく序中盤の構想という点でも、個性が出ていると思います。
-前期の女流王位戦5番勝負では、挑戦者の伊藤沙恵女流四段の向かい飛車に対し、里見女流王位は中飛車を居飛車に振り戻して応じる場面がありました。
藤井 その指し方は、振り飛車というより居飛車に近い将棋だと感じます。里見女流王位は振り飛車党ではありますが、急所を突いて指していますし、いろいろな形を試みて結果を残しています。すごいことだと思っています。