■記憶とのずれに向き合って
夜の闇が深くなるにつれ、空に不穏な雲が漂う。画面中央には、赤い屋根の一軒家。ひゅっと伸びてきた人の手が屋根を外すと、間取りが現れる。玄関、居間、畳の部屋…。屋根を持つ手から離れた人さし指と中指が家の中を動き回る。
急に、家がぐらぐらと揺れ出す。屋根が閉じられ、再び開かれると、そこにはピンク色の脳みそが。指でつつかれ、いじられ、脳は白黒に変化し、最後には黒い液体になって溶ける。そして再び、ピンク色の脳みそが浮かび上がる。
美術家・束芋の映像作品「神戸の家」は、「あの日の朝」の記憶を基に作られた。
1975年神戸市出身、長野県在住。浮世絵を思わせる独特の色合いと、どこかグロテスクな手描きアニメの映像作品で、世相を表現してきた。京都造形芸術大学(現京都芸術大学)の卒業制作「にっぽんの台所」(99年)で注目を集めた。最近は、舞台作品も手がけ、国内外で活躍する。























