震災復興のシンボルとして建てられたシューズプラザ。今後の活用や建物の行く末は決まっていない=神戸市長田区細田町7
震災復興のシンボルとして建てられたシューズプラザ。今後の活用や建物の行く末は決まっていない=神戸市長田区細田町7

 神戸市長田区のJR新長田駅から北へ徒歩3分。大きな赤いハイヒールのオブジェが特徴的な施設「シューズプラザ」がある。

 1995年の阪神・淡路大震災で被災したケミカルシューズ産業の支援拠点として、2000年にオープン。業界を立て直すための「復興支援の館」だった。

 外観は今も当時の名残をとどめるが、中身は伴わない。赤字が続き、管理運営した同市の第三セクターは17年に解散。施設は同市内の住宅会社に売却され、手つかずのまま残っている。

 「最初はたくさんの人が来たが、今は商売にならん」。1階で靴の販売を続ける男性(93)がため息をつく。震災で靴工場を失い、小売りに転じた。この1年で仲間は全て撤退し、1社だけフロアに残った。「健康のため続けているが、そろそろ店を畳もうと思う」