本社ビルを背に自社の将来像などを語るアシックスの廣田康人会長=神戸市中央区港島中町7(撮影・大田将之)
本社ビルを背に自社の将来像などを語るアシックスの廣田康人会長=神戸市中央区港島中町7(撮影・大田将之)

 2018年1月、廣田康人氏(67)は、アシックス会長兼社長だった尾山基(もとい)氏(現相談役)に誘われて同社に入った。2カ月後、社長に就くが、当時は業績が伸び悩んでいた。

 入社する際に、「欧州での伸びが頭打ちになってきている」「アメリカでも競合関係が厳しくなっている」といったアナリストレポートの情報は持ってました。ずっと右肩上がりだった15年までの勢いが、16年ごろから減速していた。会社の中に入って、それが分かりました。

 会議を開くと、海外の販売会社は、アシックスが伸びないのはちゃんとした商品を出さないからだと言う。一方、ものをつくる本社側は売り方が悪いと言う。どっちもどっちなんです。本社と販社に差があると感じ、一体化していかないといけないと思いました。

 製販を一体化する「カテゴリー制」の導入に取り組み、商品企画、生産、マーケティング、販売までの責任を、「パフォーマンスランニング」「スポーツスタイル」など五つのカテゴリーに集約していく。社内には反発もあり、辞めていく者もいた。