阪神・淡路大震災からの復興を目指し、被災企業22社(現在は19社)が一緒になった協同組合「産団協」。2022年、経営不振に陥った1社の借り入れを他の全社で負担せざるを得ないピンチを、官民ファンド・地域経済活性化支援機構(REVIC、東京)活用の秘策で救ったのが、理事だった山下隼人(47)だ。
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老舗の産業用ガス商社「水島酸素商会」の創業家一族で5代目社長の山下は、経営者として、産団協の存在を重荷に感じていた。20年、業界大手への自社株売却に伴う資産査定で、先方から「高度化資金の返済に連帯保証が付いている。これがある限り買い取れない」と通告された。