スポーツ用品国内最大手のアシックス(神戸市中央区)は、16日開催の「神戸マラソン2025」(神戸新聞社など共催)で、人工知能(AI)を活用してレース戦略を組み立てる「AIレースシミュレーター」を導入する。アシックスが契約するケニア国籍の女子招待選手2人が当日、実際にシミュレーターが立てた戦略を基にレースに挑む。
シミュレーターは、ランナーの身体能力やコースの地形、気象条件に加え、持久系の運動に関する複数の学術論文などをAIが学習。さらにトップアスリートのレース中の思考や位置取り選択、駆け引きなど、同社のスポーツ工学研究所が蓄積してきた定性的な情報も学ばせた。
これにより、一定区間ごとのレース戦略を立て、目標タイムに向けたペース配分や位置取りなどを提示する。今回は大会3日前の13日に最新の気象条件の情報などを入力し、シミュレーション結果を確認するという。
シミュレーターの開発は、スタートアップ(新興企業)の「Godot」(ゴドー、神戸市中央区)と共同で取り組んだ。ゴドーは、人間の行動原理などを科学的に分析する「行動科学」とAIを組み合わせたサービスを提供している。
今回はトップアスリート向けの試作品で、今後は一般ランナーでも使えるように開発を進めるという。ゴドーの森山健代表取締役は「神戸発のスタートアップとして、地元のグローバル企業と神戸の大切なイベントで発表できることはうれしい。今後もプロアスリートの限界への挑戦を支える取り組みを続けたい」としている。(大盛周平)
























