旧山邑(やまむら)家住宅(ヨドコウ迎賓館)=芦屋市山手町=の敷地が、国の重要文化財に指定されることになった。設計者は米建築家のフランク・ロイド・ライト(1867~1959年)。六甲山麓の斜面を巧みに生かし、自然と建物を融和させた芦屋での経験が、代表作で世界遺産の「落水荘」につながったとみる研究者もいる。市の担当者は「世界の建築史から見ても画期的だった」とする。(土井秀人)
ライトは近代建築「三大巨匠」の1人とされ、2019年には落水荘やグッゲンハイム美術館など米国内の8作品が世界文化遺産に登録された。米政府の推薦書では、将来的に追加登録される可能性がある作品として米国外では唯一、旧山邑家住宅を挙げていた。
現在、日本にあるライト建築で当初の姿で残っているのは二つだけで、うち一つが旧山邑家住宅だ。「櫻正宗」の銘柄で知られる酒造会社の8代目当主が、帝国ホテル建設のため来日していたライトに依頼して1924年に完成した。