のじぎく賞を受ける西野正展さん=尼崎市塚口町2
のじぎく賞を受ける西野正展さん=尼崎市塚口町2

 川で溺れかけていた高齢男性を救助したとして、兵庫県警尼崎北署は、同県西宮市の製造会社員西野正展(まさのぶ)さん(52)に県の善行賞「のじぎく賞」を手渡した。

 西野さんは11月9日午後3時ごろ、武庫川沿いを散歩中に水に漬かった男性(78)を発見。とっさに走って向かい110番した。穏やかな川は前日の降雨で水位が上がっており、男性は石垣の斜面に生えた木の枝につかまって「足がつかない」と話したという。

 西野さんは「大丈夫ですか? お巡りさん呼んだから待っといて」などと声をかけ続けたが、男性は次第に返答が少なくなり「もう無理や」とつぶやいた。西野さんは石垣に横たわって手を伸ばし、男性の手首をつかんだ。「持ち上げられなくても決して離さない」の一心だったという。

 通報から約10分後、同署員が駆けつけ、レスキュー隊も到着して引き上げた。男性は低体温症で入院したが、命に別条はなかった。

 西野さんは普段、中学2年の長女に「困った人は助けてあげて」と伝えているといい、「自分がちゃんと実践できてよかった。長女には、良いことしたんだね、と褒めてもらった」と笑った。(金 旻革)