神戸市北区や西区に住む市民らの重要な移動手段となっている神戸電鉄=16日午前、神戸市北区山田町下谷上
神戸市北区や西区に住む市民らの重要な移動手段となっている神戸電鉄=16日午前、神戸市北区山田町下谷上

 神戸市は神戸電鉄(神戸市兵庫区)の株を2億8千万円分購入し、上位株主を目指す方針を固めた。沿線人口の減少が進む中、経営への影響力を強め、市のまちづくり施策と連動させるのが狙い。地方自治体が都市部を運行する私鉄の上位株主に名を連ねれば異例となる。関係者への取材で分かった。

 神鉄は、兵庫県内4市に5路線、計69・6キロの鉄道網を敷く私鉄。神戸市内では兵庫区の新開地を起点に、北区や西区の市境までをカバーする重要な交通インフラとなっている。一方、沿線では高度成長期に開発された住宅地がオールドタウン化し、人口減少や少子高齢化が課題になっている。

 市は2020年、初乗り運賃が高額で利用が低調だった「北神急行電鉄」(同市北区)を、阪急阪神ホールディングス(HD)傘下の阪急電鉄から事業譲渡を受けて市営化。市営地下鉄北神線として運賃の大幅値下げを実現し、谷上駅(北区)でつながる神鉄沿線の駅前開発を加速させ、鉄道網を軸とした郊外の再生に注力してきた。

 市はさらに、今回の株取得で神鉄との関係を強化し、駅舎改修など沿線市街地の魅力向上に向けた投資を促す考えだ。

 市は現在、筆頭株主の阪急阪神HDと株の購入を協議中。2億8千万円分の購入に至れば、株の保有割合は1%程度となり、上位4~5番目の株主となる見込み。財源には市が保有する別企業の株の売却益を充てる予定で、26年度当初予算案に取得費を計上した。

 全国では、過疎化により存廃の議論があるJR路線で、沿線自治体が株の一部を取得する事例はあるものの、都市部で私鉄の上位株主になるケースは珍しい。

 自治体が株主としての立場を行使した事例では、東日本大震災後の2012年、関西電力の筆頭株主だった大阪市の橋下徹市長(当時)の呼びかけで、神戸、京都市を含む3市が脱原発などを提案したことが知られている。(井沢泰斗)