タケノコの名産地、姫路市西部の太市(おおいち)地区で、今年の出荷が始まった。周辺は栽培に適した鉄分を含む粘土質の土壌のため、苦みが少なく、柔らかく育つ。旬の味覚を食卓に届けようと、地元農家が早朝から竹林で収穫作業に励んでいる。(辰巳直之)
太市のタケノコは江戸末期、「孟宗竹(もうそうちく)」という種類の竹を移植したのが始まりとされ、「姿は山城(京都)、味は太市」と称される。現在は、農家約260人でつくる「太市筍(たけのこ)組合」(姫路市西脇)が計53ヘクタールで栽培。朝掘りのタケノコを4月末まで収穫するほか、水煮などの加工品も販売する。
同組合の篠本忠美組合長(80)は午前5時半ごろから竹林に入り、「トンガ」と呼ばれる専用のくわで地中から掘り起こす。「昨年夏は少雨だったので心配していたが、年が明けてからは雨に恵まれ、おいしく育っている」と満足げに話す。