1階部分が倒壊した兵庫署=1995年1月24日、神戸市兵庫区下沢通
1階部分が倒壊した兵庫署=1995年1月24日、神戸市兵庫区下沢通

 陸上自衛隊姫路駐屯地(姫路市峰南町)に所属する幹部隊員の中岡初年(はつとし)さん(55)には、30年前の1月17日に阪神・淡路大震災の被災地で耳にした忘れられない言葉がある。同駐屯地から到着した活動拠点の兵庫署(神戸市兵庫区)で、警察官の誰かが口にした「仲間より住民を助けてほしい」。同署庁舎は倒壊して署員が生き埋めになったが、市民の救出を優先する言葉に背中を押された。それから約2週間、倒壊家屋からの生存者の救出や遺体の搬出などに力を尽くした。

 中岡さんは現在、同駐屯地を拠点とする中部方面特科連隊第1大隊の本部管理中隊長。30年前も同駐屯地所属の隊員で、発生の約4時間半後に姫路から資機材を積んだ大型トラックを運転して被災地へ向かった。