展示された車谷長吉さんの遺品を眺める妻の高橋順子さん=姫路文学館
展示された車谷長吉さんの遺品を眺める妻の高橋順子さん=姫路文学館

 反骨の精神と波乱の人生を私小説に凝縮し、直木賞などを受賞した姫路市出身の作家、車谷長吉(ちょうきつ)さん(1945~2015年)の歩みを紹介する企画展が、姫路文学館(姫路市山野井町)で開かれている。文壇から評価されなかった下積み時代や、病と闘いながら創作していた姿を、未公開の書簡や遺品などで生々しく伝えている。6月22日まで。(藤本賢市)

■妻の詩人、高橋順子さんが遺品を一括寄贈し企画展実現

 車谷さんは広告代理店を退職後、26歳で作家デビュー。30歳からの7年間は飲食店の下働きなどで過ごすが、47歳で刊行した初の作品集「盬壺(しおつぼ)の匙(さじ)」で三島由紀夫賞などを、53歳で発表した「赤目四十八瀧(あかめしじゅうやたき)心中未遂」で直木賞を受賞した。