秋祭りの「提灯(ちょうちん)練り」で知られる魚吹(うすき)八幡神社(兵庫県姫路市網干区宮内)の氏子地区の一つ、新在家地区に、ミニチュアのだんじりの模型が完成した。作者は氏子で会社員の小谷崚太さん(29)。地元の人から「だんじりをモチーフに、何か遊べるものを作ってほしい」との要望を受け、段ボールなどを使って仕上げた。その精巧さは「遊べるもの」の域をはるかに超える出来栄えだ。(佐藤健介)
新在家地区は、同神社の秋祭りでだんじりを出す4地区の一つ。だんじりは2017年に84年ぶりに新調され、獅子などをかたどった彫刻が配されている。
小谷さんは保育園時代、段ボールでできた祭り屋台を友達や先生らと作り、公園で練ったことがある。そのとき「いつか自分の手で立派な物を仕上げたい」と幼心に思ったという。
その後、だんじりの曳(ひ)き手を務め、提灯練りにも参加するように。だんじりの舞台で繰り広げられる伝統演芸や、屋台を空中に放り投げる荒技「チョーサ」にも魅了された。「全国見渡しても、ここにしかない文化が誇らしい」。小学生時代から、段ボールでミニチュアの屋台やだんじりをこしらえるようになった。
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今回の模型を作るきっかけは、祭礼運営組織「新在家文化祭典振興会」の元会長、西本泰三さん(61)からの呼びかけだった。「祭り好きの孫が、遊べるものを」と頼まれ、昨年1月、製作を始めた。祭り愛と手先の器用さが相まって、約7カ月で完成した。
模型は高さ約72センチ、幅約35センチ、長さ約75センチ。屋根の獅子など彫刻の部分はクラフトナイフで切り取った段ボールを複数枚重ね、立体感を再現した。だんじりに飾られている「青龍」や「白虎」などの四神や、神功皇后や応神天皇の像も、実物そっくりに仕上げた。
屋根の曲線を左右対称にするのに苦労したが、丁寧な手作業で均整の取れた形を実現。発光ダイオード(LED)でライトアップできる工夫も施した。
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新在家地区は今年、魚吹八幡神社で毎年春に行われる伝統行事「武神祭(ぶじんさい)」で、三味線や日本舞踊などの演芸を奉納する役割を担う。
同祭は「津の宮鬼追い祭り」の別称があり、鬼に扮(ふん)した男性5人が舞う。厄災を追い払う行事として受け継がれ、市の無形民俗文化財に指定されている。今年は3月28日に挙行される。
演芸の奉納などは氏子地区が持ち回りで担当しており、当番は24年に一度。この栄誉あるタイミングで模型が完成したことで、小谷さんや西本さんら氏子の喜びはひとしおだ。
「歴史ある祭礼を心ひとつに楽しみたい」と小谷さん。模型は地元公民館に常設展示する案があるといい、小谷さんは「だんじりの魅力がぎゅっと詰まっている。村の宝を身近に感じてほしい」と願っている。
























