陸上部の指導者として、28年間のキャリアを終えた足立前監督=西脇市野村町
陸上部の指導者として、28年間のキャリアを終えた足立前監督=西脇市野村町

 夏の暑さを乗り切り、吹く風に秋の気配を感じると、西脇市民は駅伝シーズンの到来を肌で感じる。「今年のチームは全国に進めるのか」と気にし始める時、頭に浮かぶのが、西脇工の濃紺色のユニホームだ。

 市民の期待を集める男子陸上部。その指導者として28年間の責務を全うし、今春、定年退職で監督を退いた。「高校時代に言うことを聞かなかった選手の方が、『お疲れさまでした』と連絡をくれる。人間って、分からないものです」と表情は明るい。

 多可町生まれで、中学までは野球少年。高校でも野球部に入ろうと、強豪の私立高校を見学したほどだ。しかし、家業の織物業が苦しく、私立校への進学を断念。当時、陸上部の躍進が目覚ましかった西脇工を選んだ。