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戦前のトアホテル
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戦前のトアホテル
トアホテルの皿とロゴマーク
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トアホテルの皿とロゴマーク
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トアホテルの皿とロゴマーク

 神戸の中心地を真っすぐ結ぶトアロード(TOR ROAD)。愛称の由来とされる「トアホテル」は戦前、山手のランドマークとして格式を誇った。火災で姿を消してから70年。その高級ホテルの食器が自宅にあるとの情報が、中央マンスリー「トアロード 文学散歩」を読んだ神戸市東灘区の女性(88)から寄せられた。(小尾絵生)

 トアホテルは、1908(明治41)年に開業。六甲山の麓の赤い瓦屋根の洋風建築は、下田菊太郎の設計で、浜手からも目立ったという。戦時中は川崎病院の分院に。戦後は、旧居留地の建物を焼失したオリエンタルホテルが買収するも、進駐軍の将校宿舎として接収され、50年4月22日に全焼した。ホテルにまつわる品は、貴重な“神戸遺産”だ。

 女性が保管する皿は、直径22・5センチ。白地に赤い縁取りと、「Tor Hotel」「Kobe Japan」の文字があしらわれ、鳥居のロゴマークはホテルの広告でも使われている。

 女性によると、皿はもともと友人の母親のもので、岡本にあった女性の実家が神戸空襲で焼け、「お困りだろうから」と贈られた。56年に結婚。「嫁入り道具をそろえるのも難しい頃、あるものを持たせたということだったのでしょう」と振り返る。

 最近、皿について友人に尋ねたが、「なぜ母が持っていたかは分からない」との返事だった。

 当時は5枚あった皿も、人に譲って、今は3枚に。日常的に使っているため、今では赤い縁取りもところどころかすれてしまった。

 それでも、阪神・淡路大震災でも割れずに残っただけに、愛着は深い。「私がいなくなれば忘れられてしまうけど、お皿の存在を何かに残しておきたくて」。女性はそう語り、皿の縁をそっとなでた。

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