年明けから新型コロナウイルス感染症患者が急増し、神戸市では医療現場だけでなく、保健所も逼迫(ひっぱく)した状況が続く。保健師を統括する市健康局の山崎初美保健企画担当部長に保健所の現状や感染対策について尋ねた。(聞き手・長谷部崇)
-保健所の今の体制は。
「約200人の保健師を総動員している。コロナ対応による採用で昨年4月時点より22人増えたが、感染者の急増で手いっぱいだ。12月の入院調整も厳しかったが、1月は一段と難しくなり、みんなぴりぴりしている。とにかくいろんな病院に電話をかけ、一刻を争うケースでは、午前0時を回っていても入院先を探す。夕方に退院した人がいて、空きが出ているかもしれないからだ」
-感染者にはどのような対応を。
「病院から感染の発生届が提出されると、電話で健康状態や生活状況などを尋ね、なるべくその日のうちに訪問する。他の自治体は電話だけで確認するところがほとんどだが、神戸市は患者本人に会うことを重視している。患者の健康状態や生活環境を自分の目で把握するためだ。ただ、このまま感染者が増え続ければ、それも見直す必要が出てくる」
-現場の厳しさも増している。
「保健師たちはこの1年働きづめで、時間外労働が月100時間を超える人はざら。幼い子どもがいるのに、時間外が80時間という人もいる。週1日は休むよう言っているが、難しい人もいる。(自分が休むと)他の人にしわ寄せがいくから、という理由だ」
「今は病床が足りず、患者に治療の優先順位を付けている状況。入院できない人が増え、私たちも患者の体調の変化を早期に察知しなくてはいけない。本来であれば、高齢者施設のクラスター(感染者集団)の発生予防などにも力を入れたいが、とても手が回らない」
-市民に呼び掛けたいことは。
「最近は食事中や家庭内の感染が多い。食事は少し離れてはす向かいに座り、小声で話すなど一工夫を。外出する人は、できれば自宅でもマスクをしてほしい」
「多くの感染例を見てきて、私も『こんなに効果があるのか』と驚いたのがマスクだ。感染は、マスクを外して近距離で会話しているケースがほとんど。互いにマスクをしている状態での感染は少ない。まず感染者数を減らさなければ、助かるはずの命を救えない。人出の多い場所への外出や大人数での会食は避け、マスク着用や換気、手洗いの徹底を、一人一人にお願いしたい」
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