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アーケードが独特な二宮市場=神戸市中央区琴ノ緒町3
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アーケードが独特な二宮市場=神戸市中央区琴ノ緒町3
二宮市場から立ち退き、シャッターを下ろした「恋水商店」=神戸市中央区琴ノ緒町3
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二宮市場から立ち退き、シャッターを下ろした「恋水商店」=神戸市中央区琴ノ緒町3
看板のかかる二宮市場入口=神戸市中央区琴ノ緒町3
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看板のかかる二宮市場入口=神戸市中央区琴ノ緒町3

 旧大安亭(おおやすてい)市場で創業し、今年で96年目になる青果店「恋水(こいみず)商店」(神戸市中央区旭通3)。発祥の地を離れずに商売をしてきたのかと思いきや、「2回場所を移しました。最初は戦後、それから最近の二宮市場の一部撤去で。時代の波には逆らえんね」と3代目の恋水賢弘(たかひろ)さん(63)は話す。

 1945年の空襲により市街地は6割以上が壊滅。旧大安亭市場のあった三宮一帯も例外ではなかった。さらに駅南東は、占領軍の「イーストキャンプ」となり、住宅の再建を阻んだ。地元客を失った商店は立ちゆかなくなり、恋水商店は52年、二宮市場(琴ノ緒町3)に移転した。

 線路を挟んで西約400メートル。市場の入り口から2軒目が、自宅兼店舗だった。「焼き芋が好評でね、お客さんも戻ってきてくれたそうです」

 二宮市場は23(大正12)年設立。戦後の混乱を乗り越え、歴史を刻んできた。阪神・淡路大震災前まではシャッターが閉まっている店はほぼなかった。

 「昔は人混みで市場の中は前に進めんかった。人出が多いからすりも多いって聞いたことがあるくらい」。市場近くの二宮神社の宮司山西乙平(おとひら)さん(83)は、そう振り返る。

 山西宮司は今もよく市場を利用するが、往時の活気が失われたことを惜しむ。「加納町3丁目に歩道橋ができて人の流れが変わったんとちゃうかな」

 片側3車線の山手幹線とフラワーロードが接続する加納町交差点には、たすき掛けのように歩道橋(総延長239メートル)が架かる。市によると、70年に仮設後、76年に現在の形になった。山西宮司の記憶では、かつての交差点は今ほど大きくなく、北野方面からも足を運びやすかったという。

 人の流れの断絶や都心の人口減、大型店の進出-。時代の波にのまれて二宮市場は縮小し、2015年、マンション建設の話が持ち掛けられた。4年前に東西2筋のうち、北側が撤去。営業を続けているのは7店舗だけとなった。

 恋水商店も一昨年、現在地に移った。創業地に近い土地を50年ほど前に入手。二宮の家が手狭になって、2005年に新築した自宅の1階を店舗に改装した。再移転後は飲食店などへの卸売りをメインにしてきたが、昨年はコロナ禍で売り上げが大きく落ち込む逆風に見舞われた。

 それでも「震災では祖父が店を守ってくれたから、助かった。今度は自分の番。創業100年までは続けたい」と恋水さん。薄れゆく市場の記憶を、受け継いでいく。(安福直剛、坂井萌香)

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