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3月末で閉館する「オテル・ド・摩耶」=神戸市灘区摩耶山町
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3月末で閉館する「オテル・ド・摩耶」=神戸市灘区摩耶山町

 日本三大夜景を望む、摩耶山「掬星(きくせい)台」近くに立つ公共宿泊施設「オテル・ド・摩耶」(神戸市灘区)が、31日で閉館する。2001年のオープンから20年、都市近郊の絶景を目当てに親しまれてきた。神戸市によると、同施設で採用された、民間が資金調達や建設、管理運営を担う「PFI事業」の期間満了が理由という。コロナ禍で後継の公募も見送られ、前身の「摩耶ロッジ」から半世紀にわたる国民宿舎の役目を終える。市は一帯の再整備計画と併せ、跡地活用策を検討中だ。(井上太郎)

 前身の摩耶ロッジは、1970年に開業した。阪神・淡路大震災で被災、休業したが、神戸市が観光施設として国内初のPFI方式を採用し、選ばれた鹿島が大規模改修。2001年7月、現在の名称でリニューアルオープンした。

 2階建てで客室31室、定員76人と小規模だが、夜景と県内の食材をふんだんに使ったイタリアンレストランを看板に集客していた。

 市によると、レストランを含む年間の利用者は08年ごろの約3万人がピーク。近年は1万5千人程度にとどまっていた。ホテルの担当者は「新型コロナの影響とは関係なく、当初から予定していた事業期間の満了に伴う閉館」と説明。31日のチェックアウト客を送り出して営業を終える。

 一帯の国立公園は18年に開発規制が緩和され、翌年、市が訪日客の呼び込みに軸足を置いた摩耶山上エリア再整備の方針を決めた。当時はオテル・ド・摩耶の後継として新たなホテル誘致も検討していたが、コロナ禍で状況が一変。市観光企画課の担当者は「計画見直しの中で、宿泊施設が必要かどうかも含めて検討する」としている。

 市議会2月議会で、市の国民宿舎の設置条例廃止議案が可決されたため、少なくとも国民宿舎としての再建はなくなった。

 3月下旬、数年ぶりに宿泊した男性(40)は、建物を背に妻と長男と並び記念撮影。「おいしいご飯を食べてきれいな夜景を見て、自然豊かな環境でリラックスして過ごせるのが好きだった。また泊まりに来たかったのに、寂しいですね」と名残惜しそうに話した。

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