オープンカフェなどを出店しやすくする国の新制度「歩行者利便増進道路」(通称・ほこみち)の運用が、4月から始まる。全国で初めて指定された3カ所のうちの一つ、三宮中央通り(神戸市中央区)を長期的に使える「占用者」となる地元まちづくり協議会は、将来的な歩道活用策の議論を本格化させている。同協議会の担当者は「実績を重ねて、『足を運んでみたいまち』をつくりたい」と意気込む。(安福直剛)
制度は昨年5月に成立した改正道路法に基づき、歩道を使ったまちづくりやにぎわい創出を後押しする。今回、同通りのほか、大手前通り(姫路市)と御堂筋(大阪市)が選ばれたが、既に占用者が決まっているのは神戸のみという。
三宮中央通りは、神戸市中央区加納町6のフラワーロードから同区三宮町3の鯉川筋までの約500メートル。地元の三宮中央通りまちづくり協議会は約20年前、地下鉄海岸線の開通に合わせた道路整備段階から、歩道の重要性に着目。市の担当者らとも定期的に会合を開き、広い歩行空間の確保やオープンカフェのイベント開催など、官民が協力してまちづくりを進めてきた。
コロナ禍で飲食店が苦境にあえぐ中、国の「コロナ占用特例」制度を使い、同通りでも昨夏から、歩道に飲食用施設を置くなど活用してきた。今後も歩道の利活用を進められる「ほこみち」の指定を追い風にしたい考えだ。
同協議会はこのほど、10~20年後の将来像をイメージした図面を作成。現在よりさらに広く緑あふれる歩道には、コンテナハウスやキッチンカーが並び、老若男女が行き交う様子が描かれている。同協議会企画部会長の永田泰資(たいすけ)さん(35)は「道路の安全性や衛生面などクリアすべき課題は多いが、関係機関と協議しながら目標を持って前進したい」と話す。
市道路計画課は「安全面はもちろん、今後の活用状況やニーズがどれほどあるかを精査し、協議会の皆さんと話を進めていきたい」とする。
