東京パラリンピック卓球女子日本代表、友野有理(21)=日体大、神戸市垂水区出身=の脚の装具を作っている。まひがある右脚の動きを支えるため、軽くて強いカーボンを使用。加工が難しい素材だが、匠(たくみ)の技で細かい要望にも応える。
2人の“タッグ”は3年ほど前から。友野が通った兵庫県立リハビリテーション中央病院(同市西区)から、卓球の動きに合わせた装具の相談があった。同時期に友野の姉稜子さん(24)からも、在籍した神戸学院大学の教員を通じ、妹のための製作の依頼を受けたという。
右脚の前後の動きを維持しつつ、障害の影響で時折ぐにゃりと曲がる足首をどう固定するか。カーボンは技術力を問われるが、その目的にはぴったりだった。「いかに適合させるか。腕の見せどころ」と作り始めた。
ふくらはぎに沿わせる部分はカーボンを何層も重ねるなど、足首を守ったまま柔軟性を確保。成形に3日かかり、温度管理も必要だが、高度な手仕事で完成させた。技術が評判となり、卓球男子で日本選手団の旗手を務めた岩渕幸洋(26)=協和キリン=もサポートしている。
同市東灘区で暮らす36歳。サッカー部員だった県立芦屋高校1年生の時、腰のけがでコルセットを巻いた。親戚に義足の人もいたため義肢装具士を志し、専門学校を経て澤村義肢製作所(同市中央区)に入社。情熱とセンスで20代で常務に就いた。
「けがなく無事に。それが一番」。大舞台で、装具と一体となった友野らの姿を見守る。(有島弘記)
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