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「お客のわがまま!」と話す松岡たいし店主=神戸市垂水区塩屋町3
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「お客のわがまま!」と話す松岡たいし店主=神戸市垂水区塩屋町3
カレーうどん丼などが書かれた裏メニュー
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カレーうどん丼などが書かれた裏メニュー
裏メニューの一つ、野菜ラーメン
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裏メニューの一つ、野菜ラーメン

 「メニュー以上の数の裏メニューがある」。神戸市垂水区塩屋で取材中、山陽塩屋駅前にある「食堂しろちゃん」(垂水区塩屋町3)のうわさを耳にした。いざのれんをくぐってみると、常連客が食べていたのはメニュー表にはない、焼きめしオムライスやカツ煮込み。裏メニューの誕生秘話を聞くと、常連客との距離の近さが見えてきた。(丸山桃奈)

 出迎えてくれたのは、2代目店主の松岡たいしさん(61)。駅前に店を構えて53年。創業当初はお好み焼きから始め、時代の流れと共に、定食などが中心の食堂に変わった。

 昼時の店内は、常連客らがカウンター席やテーブル席へ続々と案内される。壁のメニュー表には、丼や定食など計45品がぎっしり。総菜の小鉢を並べたケースは店の中心にあり、サラダやサバなど原則日替わりで約10種類が選べる。

 単刀直入に、松岡さんにうわさの真相を聞いてみた。答えは「数えたことないから分からんなあ。そこまで多くないはず」だった。「お客さんの方が把握している」と笑いつつ、思い出せる限りの裏メニューを書き出してくれた。焼きめしオムライス、カツ煮込み、カレーラーメン。独創的な約30種類が並んだ。

 裏メニューを作るには決まりがある。想像できるもの、店にある食材、混んでいない時。値段はベースとなる1品分のまま。「これとこれ、一緒にして食べてみたい」という常連客の一言から、裏メニューがいつの間にか増えていったという。

 週に3回は食べに来るという酒店店主の男性(58)も、提案者の一人。「カレーうどんにかかっている和風だしを、丼にして食べたくて」。完成した裏メニューが「和風のカレー丼ぶり」だ。同じく常連客の女性(39)=兵庫県明石市=は、定食に付いていた野菜もラーメンと一緒に食べたいと、野菜ラーメンを発案。「2種類注文しても、食べきれないから。他にも唐揚げにカレーソースをかけてほしいと言ったことも」と笑う。

 こんなやりとりを繰り返した末、うわさとなって記者の耳に入ったというわけだ。メニューの数以上ではなかったが、裏メニューは約30種類にも上った。松岡さんは「お客のわがまま!」と照れながらも「『こんなんどう?』と言ってくれるのが、実はうれしい」と相好を崩した。

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