独立行政法人「海技教育機構」(横浜市)の練習帆船「日本丸」の神戸港寄港が通算100回に達したのを記念し、8日、停泊する神戸市中央区新港町の新港第1突堤でセレモニーが開かれた。初入港から37年で迎えた節目。出席した神戸港の関係者が、訓練生ら約80人の乗組員らを前に「強い絆をさらに発展させて」と呼び掛け、出港を見守った。(井上太郎)
現在の「日本丸」は、50年以上にわたって船員を育てた初代日本丸の後継として1984年に完成。練習帆船としては国内最大級(全長110メートル、総トン数2570トン)で、白い船体に帆を張ったときの優美さから「太平洋の白鳥」の愛称で親しまれる。東京港を拠点に、全国の商船高専や海技大学校(兵庫県芦屋市)の実習生らが1カ月から半年乗り込み、操船の基礎を学ぶ。
この2代目日本丸が初めて神戸港に入ったのは84年9月28日。以来「西の母港」として、年に1~3回のペースで寄港してきた。新型コロナウイルス禍で入港を認めない港が出てきた中、神戸港は受け入れを継続。今年の入港は既に10回を超えており、11月30日、通算の寄港回数が節目の100回となった。
この日の出港に合わせ、一般財団法人「神戸観光局」がセレモニーを企画した。同法人の清水雅範専務理事(60)は「世界でも有名な美しい練習船の寄港は、市民も毎回心待ちにしている」とあいさつ。神戸運輸監理部の石原彰部長は、世界的に海上輸送や船舶数が増える一方、日本籍の船や船員が減っている現状に触れ、海技教育の重要性を強調。「阪神・淡路大震災を乗り越えてきた神戸港と、その復興を見てきた日本丸。強い絆を若い方々が受け継ぎ発展させてほしい」と呼び掛けた。
花束などを受け取った日本丸の眞鍋吉範船長(48)は「コロナ禍でも、神戸港は今までと変わらず受け入れてくださった」と感謝。「引き続き、練習船教育へのご支援をお願いします」と述べた。
神戸市消防音楽隊の演奏で見送られ、日本丸は次の訓練に向けて出港。22日に再び神戸港に入り、新年を神戸で迎える予定という。
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