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本名、身長、体重、血液型、生年月日、全てが謎に包まれているストロングマシーン・J選手
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本名、身長、体重、血液型、生年月日、全てが謎に包まれているストロングマシーン・J選手
2世レスラーとして、父の後を追うストロングマシーン・J選手=横浜市(ドラゴンゲート提供)
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2世レスラーとして、父の後を追うストロングマシーン・J選手=横浜市(ドラゴンゲート提供)

 「超高性能暗殺機械戦士」ストロングマシーン・J(ジェイ)選手はマスク越しに、その肩書に似合わぬ穏やかな声で「人生ってうまくいかないっすね」とこぼした。

 2世レスラーとして期待された2019年4月のデビュー後、20年12月にはけがに泣かされたが、21年夏に復帰。偉大な父と同じ技を武器にプロとして歩み始めた。母を白血病で亡くした経験から献血キャンペーンに参加するなど、どんな時も人のために動き続ける。

 新日本プロレスで活躍した覆面レスラー、スーパー・ストロング・マシンさんの実子。幼い頃から団体の道場に出入りしていたJ選手にとって、プロレスラーは「近所のおじさん」だった。いかつくて優しくて、たまにカボチャのスープを振る舞ってくれて。「闘う人という印象は全くなかった」と笑う。

 中学生になると、一ファンとしてプロレスを見に行くようになった。チケットやグッズを買って楽しむにつれて、「会場の中心で大勢の人に応援される感覚」への興味が湧いた。プロレスラーになりたいという思いが募った。

 高校卒業後にプロレス団体への入門を考えたが、両親に反対されて就職した。「社会人の常識を身に付けようという気持ちと、諦めたふりをしようという二つ」と理由を明かすJ選手。訪問介護の仕事を通じ、「誰かのために生き、その人の生きがいになる」という、自分のプロレスラーとしての原点を見つけた。

 18年、父の引退試合を見て、「思いを継げるのは自分しかいない。ここで終わらせたくない」とプロレスラーへの転身を決意。翌19年、引退試合があった会場で、父が退場したコーナーから入場し、父譲りの技「魔神風車固め」を決めて白星デビューを飾った。

 その後、大けがで長期離脱。しかし療養中も「人のために生きていたい」という信念に突き動かされ、21年6月には、神戸市の献血ルームの一日所長に就任し、街頭で献血への協力を呼び掛けた。白血病で亡くなった母が輸血で命をつないだことを思い出しながら、「協力の輪が広がってほしい」と訴えた。

 華々しいデビューと大けがという天国と地獄を短期間で経験したが、「かっこ悪い部分にも共感してもらえるのがプロレス。包み隠さずさらけ出したい」と前を向く。目指すは、2番手に徹して輝いた父の領域だ。「自分のプロレスを見て、明日から頑張ろうと思ってくれる人が一人でもいてくれたら。体を痛めたとしても、その痛みすら、いとおしい」(大橋凜太郎)

【バックナンバー】
(3)香港出身 ジェイソン・リー選手
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(1)団体生みの親 ウルティモ・ドラゴンさん

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