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過労死した友人の人柄を語り、慰霊碑に手を合わせる堀恭平さん=神戸市垂水区千代が丘2
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過労死した友人の人柄を語り、慰霊碑に手を合わせる堀恭平さん=神戸市垂水区千代が丘2

 7年前に過労死した西日本高速道路会社の男性社員=当時(34)=をしのび、男性の母親と友人が20日、神戸市垂水区千代が丘2の旧社員寮の一角にある慰霊碑を訪れ、手を合わせた。2人は過労死がなくならない社会に「働くとはどういうことなのか」と問い掛け、「未来の労働者のため、子どもたちのため、働くことが楽しいものであってほしい」と願う。(中部 剛)

 同社第二神明道路事務所(垂水区)で勤めていた男性社員は長時間労働からうつ病を発症し、2015年2月に当時の社員寮(現在は閉鎖)で自死した。月100時間以上の残業が続き、労災認定された。母親は会社の責任を問い、謝罪や再発防止策を求めてきた。

 特にこだわったのが、社員寮での慰霊碑設置。過労死があったことを社会にも西日本高速にも忘れてほしくないという思いからだった。慰霊碑には同社名で、過労死し労災認定した事実が刻まれている。母親は「どうしたら過重労働が減るんやろう。新型コロナ禍で、今も身近な人が働き過ぎている。過労死はどこでも起こりうる」と心配する。

 母親とともに慰霊碑に参ったのは神戸市職員の堀恭平さん(41)=同市兵庫区。亡くなった男性とは高校の同級生。一緒に学校に通い、悩みや希望を語り、笑い合った仲だった。就職してからも交友関係は続き、「上司を大切にし、会社を愛し、仕事が楽しいと言っていたのに。神戸に着任してから様子が変わった」と振り返る。

 堀さんは、その友の葬儀で家族が悲しむ様子を見て人生観が変わった。それまでは、仕事が中心で残りの時間が家庭生活。そんな価値観を捨て、子育てに積極的に関わるようになった。

 3年前、兵庫県庁から神戸市に転職。NPO法人ファザーリング・ジャパン関西に所属し、「父親業兼業公務員」と名乗る。市の地域貢献応援制度を活用し、父親の育児参加や仕事と生活の調和を呼び掛ける事業を続けている。

 堀さんは「友人が亡くなってから、何ができるか考えてきた。お父さん業ができる働き方を社会に発信していきたい」と話している。

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