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抗菌シートを敷いた弁当。手洗いなどを呼び掛けるメッセージも添える=神戸市垂水区塩屋町4、塩屋さくら苑
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抗菌シートを敷いた弁当。手洗いなどを呼び掛けるメッセージも添える=神戸市垂水区塩屋町4、塩屋さくら苑
子育て家庭に弁当を届ける「塩屋こども食堂・さくらのいえ」のボランティア。コロナ禍で会食を配食に切り替えて支援を続ける=神戸市内
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子育て家庭に弁当を届ける「塩屋こども食堂・さくらのいえ」のボランティア。コロナ禍で会食を配食に切り替えて支援を続ける=神戸市内

 高齢者、障害者、子どもらの見守りや居場所づくりなどの地域福祉活動が、新型コロナウイルス禍で変容を迫られている。従来の対面支援がままならない中、兵庫県内のボランティアらは「格差や孤独は広がっている。つながりを切らさない」と、3密を避けつつ関われるよう工夫する。感染防止策を助言する専従職員を社会福祉協議会に配したり、関係者が事例を共有できるネットワークを立ち上げたり、支援の維持に向けた模索を続けている。(佐藤健介)

 「元気か」「成長を見られてうれしいよ」

 神戸市垂水区の民家の玄関先。「塩屋こども食堂・さくらのいえ」のボランティアが、子どもらに手作りの弁当を次々と手渡す。

 「ハンバーグやウインナーが入ってる!」とにっこり。傍らのシングルマザーの母親は「仕事で遅く帰ってご飯を用意するのは疲れるので助かる」「野菜のあえ物など栄養がある物も入れてくれている」と感謝を口にした。

 以前は、同区の特別養護老人ホーム「塩屋さくら苑」の大部屋で週1回、子ども食堂を開き、勉強も支援。クリスマスにはプレゼントも用意した。しかしコロナ禍のこの2年、ことごとく取りやめになった。

 「せめて子どもへの食の支援は続けないと」と2020年秋に配食を始めた。同ホームの栄養士らが献立を考え、ボランティアが幼児や小中学生、高校生がいる十数世帯に届ける。多くがひとり親家庭だという。

 「感染は怖い。でも、人に会いにくい時期にこそ、地域に知り合いを増やさないと精神的に孤立する」とボランティアの野口婦美子さん(57)。抗菌シートを添え、消毒液を携えて弁当を配り続ける。

 神戸市の大半の区社協は21年度から、子どもの居場所づくりについて助言する担当職員を置く。

 垂水区社協は、食事や学習支援の場を検討する市民らに、小児科医監修の感染防止策点検シートを配る。独自の取り組み補助制度も始め、21年度は子どもの居場所の活動が、前年度の3倍以上に当たる20カ所余りに増えた。

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 コロナ禍に対応した新たな連携の動きも出てきた。

 淡路島や宝塚市など県内外の福祉団体有志は「『つながりを切らない』情報・交流ネットワーク」を設立した。会報や漫画を作ったり、オンライン講座を催したりして事例を共有する。

 人と会えない気持ちを語る住民の様子をケーブルテレビで放映し、生活困窮者に特産米を配る兵庫の取り組みを発信している。

 兵庫県社協は、集いの場の継続を主眼に、ニュースレター「兵庫えんだより」を随時発行してきた。

 同社協は「活動を継続するには、困難を抱えた当事者と地域住民が話し合いを重ね、理解し合うことが大切」と強調。屋外開催を含めた代替策や、予防グッズ製作を提案するほか、生活支援コーディネーターら専門家に助言を求めることも促す。

 神戸市社協は、公式サイトで通信アプリLINE(ライン)による独居高齢者の見守りや、販売が滞る障害者の生産品を用いた配食サービスを紹介する。

 市社協の担当者は「支援の担い手となるボランティアも感染を恐れて閉じこもりがち。今できることに着目し、活動のモチベーションを高めるため、オンラインや地域ネットワークを生かした新たな福祉の形を示したい」と展望を語った。

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