閑静な住宅地を抜け、急勾配の坂にさしかかる。緑の中を15分も登れば、全身から滝のような汗。力を振り絞り、最後の曲線を登り切ると大きな石灯籠が姿を現した。保久良神社の社頭にそびえる「灘の一つ火」だ。標高185メートル。そばに立つと眼下に神戸の街が広がり、山肌を滑る涼風が疲れを吹き飛ばした。
神社の設立年は不明だが、境内からは弥生時代中期のものとされる祭(さい)祀(し)用の土器や矢じりが見つかっている。まつっているのは「椎(しい)根(ね)津(つ)彦(ひこの)命(みこと)」。海の安全を守る「実践と行動」の神だ。
本殿南側に立つ灘の一つ火は、古来から沖をゆく舟の灯台代わりとして夜の航海の目印とされてきた。明かりのほとんどなかった時代、山の中腹で煌(こう)々(こう)とともる火は舟人の心を和ませたに違いない。江戸時代に詠まれた歌「沖の舟人たよりに思ふ 灘の一つ火ありがたや」は、地元に語り継がれている。
その伝統を支えてきたのが麓の住民たち。平安時代まではかがり火をたき、室町時代以降は灯籠の中で火を燃やし続けてきた。世話役は「お燈(とう)明(みょう)番(ばん)」と呼ばれ、防火対策で電灯に変わった現在も、その意志はさまざまな神社の行事を手伝う「北畑天王講」の人々に受け継がれている。
紀元前から多くの人が通ったとされる本殿への道。今も午前3時ごろから参拝者が絶えない。「決して楽ではないけれど、起きたら自然と足が向くのでしょう」と猿丸義也宮司(82)。人々に愛される参道への思いを込めて、「敬神愛山の道」と名付けた。
幼少時から登り続ける猿丸宮司のお勧めはやはり早朝。東は生駒山、西は淡路島までを臨みながら、真っ赤な朝日を浴びる時間が最高だという。「生きる力が湧いてきますよ」
(岡西篤志)
〈メモ〉 境内には神生岩、立岩など大小の岩石群があり、古代庭園の面影を残す。同神社社務所(神戸市東灘区本山北町6)TEL078・411・5135
〈アクセス〉 阪急岡本駅から北東約1キロ。車での通行は不可。
【2011年8月11日掲載】

- 沖縄復帰50年神戸映画「島守の塔」特集
- 神戸三宮再整備
- 神戸
- 神戸
- 神戸東灘話題
- 神戸
- 神戸
- 神戸
- 神戸
- 神戸
- 三田神戸
- 神戸
- 神戸
- 神戸
- 神戸新型コロナ
- 神戸
- 神戸淡路
- 神戸
- 神戸教育
- 神戸
- 神戸
- 明石神戸
- 三田神戸
- 神戸
- 神戸新型コロナ
- 神戸ウクライナ侵攻
- 選挙参院選兵庫22神戸姫路
- 神戸
- 神戸
- 参院選兵庫22神戸阪神
- 神戸
- 神戸
- 文化神戸明石
- 神戸東灘話題
- 神戸文化
- 但馬東播北播西播神戸
- 神戸東灘事件・事故
- 神戸
- 神戸
- 防災神戸震災27年
- 神戸
- 神戸かなしきデブ猫ちゃん特集
- 神戸
- 神戸
- 神戸
- 神戸
- 神戸
- 神戸
- 神戸東灘話題
- 神戸
- 神戸
- 神戸
- 神戸
- 神戸
- 神戸
- 神戸教育
- 神戸
- 神戸
- 神戸
- 教育神戸東灘話題
- 神戸
- 神戸
- 神戸
- 神戸未来を変える
- 神戸
- 三田神戸スポーツ
- 三田神戸
- 神戸
- 神戸
- 神戸
- 神戸スポーツ
- 神戸文化
- 神戸文化
- 神戸
- スポーツ神戸東灘話題
- 神戸三宮再整備
- 神戸
- 教育神戸
- 神戸
- 神戸
- 神戸
- 神戸
- 神戸
- 神戸
- 神戸
- 神戸
- 神戸スポーツ
- 神戸
- 神戸スポーツ
- 神戸
- 神戸
- 神戸
- 神戸
- 神戸
- 防災震災27年神戸淡路
- 文化神戸
- 神戸阪神西播北播但馬
- 神戸
- 神戸教育
- 神戸LGBT