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「読んで一緒に泣いてくれる子もいるのでは」と語る性的少数者の入門書を出版した清水展人さん=神戸市役所
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「読んで一緒に泣いてくれる子もいるのでは」と語る性的少数者の入門書を出版した清水展人さん=神戸市役所

 女性に生まれ、好きになる対象が女性だった。自分らしく生きることが、家族を苦しめてしまうこともあった-。神戸市須磨区出身の日本LGBT協会代表理事、清水展人(ひろと)さん(37)が、性的少数者に関する基礎知識や自身の体験をありのままにつづった書籍を出版した。「執筆しながら、つらかった記憶を思い出して何回も泣いた。性に悩む子どもや大人の生きる力、希望になりたい」と願う。(名倉あかり)

 長女「展子」として生まれ、幼い頃から自分の性に違和感があった。18歳で性同一性障害と診断された後、海外で手術を受け、戸籍上も男性に。女性と結婚し、2人の子どもに恵まれた。

 幼稚園の劇で「マリア様」を演じるのが嫌だった。スカートをはかず、髪が短かった小学生の頃は「おとこ女」「オカマ」とからかわれた。中学生になると、制服を着るのがつらかった。

 周囲から「女の子らしさ」を求められる日々。「このままでは生きていけない」。不安から、高校では恋愛対象ではない男性と付き合ったり化粧をしたり、周りの女子生徒に無理に合わせた。次第に、帰宅後は部屋にこもるようになった。

 着たい服が着られない。恋愛話もできない。将来の夢も語れない。「誰にも本当のことをしゃべれない人生って、生きている意味あるのかな」。追い詰められ、ふらっと屋上に足が向くこともあった。「自分って何者なんだろう」。いつも悩んでいた。

 そんな頃、図書館で性同一性障害の男性が書いた1冊の本を手に取った。心と体の性が一致しない人もいる。「一人じゃない」。友人、先生、親にさえ言えなかった苦しみが救われた。この経験は、本を書く原動力にもつながっている。

 医師の診断を受けた後も性別により就職活動が難航したり、将来を案じた母親が体調を崩したりと、自身の性を肯定できない日々が続いた。

 転機は、手術後に心のケアを学ぼうと医療専門学校へ通い始めた時。現在のパートナーと出会った。カミングアウトした際は驚いた様子だったが「今のすてきなあなたがいるのは、悩んだり苦しんだりしたからこそ」と受け入れてくれたという。

 ありのままの自分を好きでいてくれるパートナーのおかげで、自身の性を少しずつ周りに話せるようになった清水さん。現在は全国の学校などで講演活動に励んでいる。

 4月に出版した本の中には、印象的な写真が掲載されている。それは中学校に入学する際、届いた制服を着て自宅前で記念撮影したもの。スカートをはいた清水さんの表情は硬く、唇は平行に引き結ばれている。

 清水さんは「将来に夢を抱く中学生から、笑顔が消えてしまった。性に悩む子どもが安心して暮らすには、大人が知識を持つことが大前提」と訴えた。

 本のタイトルは「今とこれからがわかる はじめてのLGBT入門」(税込み1496円)。インターネットや書店で購入できる。

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