少子化や教員の働き方改革を背景に国が模索する中学部活動の「地域移行」を促進しようと、兵庫・阪神間や神戸市の有志らが任意団体「KOBEジュニアハイスクールクラブ」を設立した。中学生がさまざまなスポーツに触れ、夢中になれる「居場所」づくりを目指す。代表の岩田哲也さん(48)=神戸市=は「地域移行のモデルを自分たちで発信したい」と力を込める。(村上貴浩)
小中学生16人が横一列に並んでラグビーのパス練習に汗を流す。毎週水曜日、星陵高校(神戸市)のグラウンド。指導するのは、ラグビーへの熱い思いを持つ多様な職種の大人たちだ。
今年6月、国の有識者会議はこう提言した。少子化で部活動がままならなくなったり、指導教員の負担が増えすぎたりする中学校が全国的に増えており、2025年までに中学部活動を地域に移行すべきだ、と。
しかし、指導者をどう確保するか、事故やけががあった際に保険や責任問題はどうするか-などと課題は山積みになっている。
そんな中、ボランティアで小学生にラグビーを指導していた岩田さんは、教え子の小学6年生から「中学生になったらラグビー辞めるしかないかな」との不安を聞いて思い立った。「子どもがスポーツに熱中できる場所をつくらないといけない」。有志に呼びかけて6月に団体を発足させた。
まず試験的にラグビー部を設けると、教えたいという大人が徐々に増えている。星陵高校ラグビー部の顧問もグラウンドを開放して指導に参加してくれた。
「本当によかった」。小学生からラグビーを続けてきた中学2年の男子生徒(14)は開設に喜びを隠さない。
指導員を務める大人はそれぞれに仕事があるため、休日などのスケジュールを見ながら今後、当番制や報酬規定も考えるという。
「子どもを中心に周りの大人が支援する。そんな『プレーヤーセンタード』の精神が理念です」と岩田さん。「将来的には文化部を含めた複数の部をつくり、それぞれに所属する子たちが交流できるようにしたい」と夢を広げる。









