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「トリプルP」について学ぶ受講者=神戸市中央区役所
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「トリプルP」について学ぶ受講者=神戸市中央区役所
「2000年ごろから子育てスキルの伝承がされにくくなった」と話す臨床心理士の白山真知子さん=神戸市中央区役所
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「2000年ごろから子育てスキルの伝承がされにくくなった」と話す臨床心理士の白山真知子さん=神戸市中央区役所

 子育てに悩む親をサポートしようと、オーストラリアで開発された子育てプログラムを紹介する取り組みを、神戸市中央区が進めている。「トリプルP前向き子育てプログラム」と題し、臨床心理学に基づいた子育てのスキルを伝授する。昨秋から同区役所で連続講座を開き、「イライラすることが減った」などと参加者に好評だ。(中島摩子)

 児童虐待の件数が全国的に増える中、同区こども家庭支援室は「孤立した子育てや地域交流の希薄さを背景に、保護者は子育ての具体的な方法が分からず悩んでいる」と懸念。改善に向け、世界25カ国で実施されているというプログラム「トリプルP」に注目した。

 春の講座で講師を務めたNPO法人「トリプルPジャパン」の理事で、臨床心理士の白山真知子さん=大阪市=によると、トリプルPの5原則は、安全に遊べる環境づくり▽積極的に学べる環境づくり▽一貫したしつけ▽適切な期待感を持つ▽親としての自分を大切にする-こと。

 例えば、具体的なスキルとして「分かりやすく描写的にほめる」。コップを持ってきた子どもに、単に「ありがとう」ではなく「コップを持ってきてくれてありがとう」と声をかける。子どもは何が良かったのかを理解でき、次の良い行動につながるという。

 また、親が「本を棚に片付けてね」と子どもに言った後、5秒ほど待つ。ついつい急かしてしまうが、子どもが「今やろうと思ったのに…」と不満を持たないよう、少し待ってみることを勧める。

 問題行動があった場合、子どもをその場所に座らせて、1~3分ほど静かする「クワイエットタイム」の必要性も伝える。子どもも親もクールダウンできるという。

 今春の連続講座には10世帯が参加。6回のグループワークと、白山さんらと個別に話す2回の「電話セッション」を設けた。

 4歳と2歳の子どもを育てる母親(33)は「5秒待つ」を実践し、「子ども自身にも『すぐにやらない理由』があることが分かった」。講座では、子どもの問題行動の頻度やその前後の行動を記録するというアドバイスもあり、参加した父親(39)は「特定の曜日に問題行動が多い傾向があると分かったので、対応を考えたい」と話した。

 白山さんは「コロナ禍で外で遊ぶことができず、家で親子が密になるが、子育てのスキルを知れば楽になる」とPR。連続講座は9~10月にも中央区役所で開かれており、7世帯10人が参加している。

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