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事件に関する書類を前に12年を振り返る堤敏さん=神戸市北区
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事件に関する書類を前に12年を振り返る堤敏さん=神戸市北区
堤将太さん
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堤将太さん

 神戸市北区筑紫が丘4の路上で2010年、高校2年の堤将太さん=当時(16)=が刺殺された事件から4日で12年になる。昨年8月に当時17歳の元少年の男(29)が殺人容疑で逮捕され、今年9月、争点などを整理する公判前整理手続きが始まったが、真相解明はまだまだこれから。我が子の存在を生かしたいと、講演を続ける将太さんの父敏さん(63)は「裁判が終わっても被害者に終わりは来ない」と思いを込める。(篠原拓真)

 男が逮捕されてから1年が過ぎた。逮捕当時、男は容疑を認めたとされるが、敏さんによると、これまでに男や男の家族から謝罪の意志を示すような連絡は全くないという。

 一方で、男の弁護側が刑事責任能力について争う方針だという報道もある。少年法に守られ、逮捕や起訴を経ても、男の詳細な情報は明かされない。「どこの誰やねん」。この気持ちはずっと変わらない。

 9月下旬、将太さんの十三回忌法要が営まれ、家族が集まった。将太さんの2人の姉や兄は結婚し、孫の姿もあった。

 将太さんは生きていれば28歳。思わず、結婚して子どもがいる姿を想像する。でも、思い浮かぶ将太さんは16歳のままだ。

 「将太の存在を生かし続けたい」。敏さんが、そんな思いで8年ほど前から取り組むのが講演活動だ。「聞いた人が共感してくれることが、将太の存在が生きている証し。僕らが黙ると将太の存在は死んでしまう」

 6月、思いが実を結んだと感じた出来事があった。

 敏さんは、同市中央区の三宮センター街で、未解決殺人事件の情報提供を求めるチラシを配っていた。受け取った男子高校生の服に、将太さんが通った高校の名があった。「10年前に君らの学校で」と語りかけると、すぐにこう返ってきた。「堤将太さんでしょ」

 学校で将太さんや事件のことが伝え継がれ、生徒の中に将太さんの存在が生き続けている。じんとした。

 裁判開始に向けた動きに関心を向けつつ、敏さんは「裁判が終わっても、元の生活は取り戻されへん」とも話す。講演のために事件に関わる内容などを書き留めたノートに「遺族も回復しなければならない」との言葉があった。敏さんは文字を見返し、つぶやいた。

 「それにはどうしたらいいんやろうかね」

【神戸・高2刺殺事件】2010年10月4日夜、北区筑紫が丘4の路上で、知人の中学3年の女子生徒といた堤将太さん=当時(16)=が近づいてきた男に折りたたみ式ナイフで頭や首などを刺されて殺害された。発生から約11年後の21年8月4日、当時17歳だった元少年の男(29)が殺人容疑で逮捕され、今年1月に同罪で起訴された。9月28日に公判前整理手続きが始まった。

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