兵庫県教育委員会が１７日に公表した県立高校の再編計画で、新校の想定設置場所が明らかになった。神戸市内のうち、北区（神戸北、神戸甲北）は神戸甲北に、西区（伊川谷、伊川谷北）は伊川谷北にそれぞれ新校が設置される想定に。教育や塾の関係者は「学科の特色や合格基準などを注視したい」とし、保護者や中学生からは「統合のイメージが具体的になってきた」とする。一方、地域からは「地域の活気が失われる不安がある」と不安がる声も上がった。（末吉佳希、安藤真子、千葉翔大）

　県教委によると、統合は少子化による教育環境への影響を考慮したもので、普通科・総合学科で１学年６～８学級の規模となるよう発展的統合を目指す。開校は今の中学１年生が高校進学する２０２５年４月。

　■「偏差値や倍率などに注視したい」。関心を寄せる教育関係者たち

　塾や教育関係者は新校の偏差値や倍率に関心を寄せる。

　神戸市内に教室を展開する「馬渕教育グループ若松塾」の船山高徳塾長（５９）は「新設校は期待が自然と高まる。合格基準や倍率がどのレベルになるか注視する必要がある」と受け止める。

　西区の統合を例に挙げつつ「『芸術』や『グローバル』といった観点が教育活動の特色に入っており、両校の良い部分が合わさった印象」と評価。「（受験を控える今の中学１年生には）今から着実に学力を伸ばすサポートをしたい」と気を引き締めた。

　西区の中学校の４０代の男性教諭は「伊川谷北は立地がいいので残るのはうなずける」。同区の新校について「１学級は新学科になるが、どんな学科か。入試方式は。詳しい内容はこれから。引き続き情報を集めたい」と表情を引き締めた。

　■受験する中１生

　西区に住む中学１年の女子生徒（１３）は「イメージが少し具体的になった。例えば伊川谷北なら、学校と最寄り駅が近いから通学は便利かな」と納得の表情。また、高校では勉強と好きなピアノなどを両立できる学校生活を思い描いているといい、「受験は１回しかないので、倍率や偏差値とかのデータが早く知りたい」と話した。

　■進路選択に欠かせない部活動

　部活動への期待も高い。北区の中学１年の男子生徒（１３）は「先生や生徒の数が増えれば部活などの活動の幅が広がりそう」と期待する。また、ラグビーのクラブチームに所属する次男（１２）を通わせる西区の母親（４８）は「本人は高校でもラグビーを続けるつもりだが、近所にないのがつらいところ。新しい学校にラグビー部ができれば確実に選択肢に入る」と話す。

　■新校への期待

　北区の学習塾では、男性講師が中学１年生に統合について説明する場面も見られた。「統合するって知ってた？」という講師の投げかけにクラス全員が手を挙げ、「選択肢や行ける学校が減ることが不安」「偏差値が気になる」などの声を寄せた。新校については「髪形やスマホの持ち込みなど、校則が比較的自由だと魅力的だな」「オンラインで授業に参加できれば」などの意見が出た。

　■気になる「跡地利用」

　また、統合される神戸北高生の利用が多い神鉄唐櫃台駅周辺では、地域住民から「活気がなくなるのでは」という意見も。未就学児を育てる同区の女性（２６）は「通学時には声が聞こえてきてにぎやか。若者世帯が少ないのでさみしくなる」と肩を落とす。高校跡地の活用を巡っては「近くに子どもを遊ばせる屋内施設が少なく、薬局やクリーニング屋もない。生活が便利になる施設ができたらうれしい」と期待を込めた。

　また、「生まれも育ちも唐櫃台」という女性（７０）は、「生徒が人助けをしてくれることもあった。元気な声は聞こえなくなるが、もともと若者でにぎわう場所がないので地域経済への影響は少ないのでは」と分析。高校の跡地については「活気が失われる分、いろいろな人が集まれる場にするなど活用を考えてほしい」と期待を込めた。