海に飛び込んだ３０代の女性を連携して助けたことをたたえ、兵庫県警葺合署は、看護師黒岡真由美さん（４６）＝神戸市中央区＝と兵庫県警から出向中の県職員古味健二さん（４７）＝同＝に県の善行賞「のじぎく賞」を伝達した。

　同署によると、飛び込み事案は１０月１６日午後２時半ごろ、同市中央区のＨＡＴ神戸近くで起きた。

　黒岡さんが自宅マンションのベランダから外を見ていた際、海のそばに女性がいるのに気付いた。うろうろしたり海際の柵にもたれたりして落ち着きがない。様子を気にしていると、女性がフェンスに足をかけたため、慌てて飛び出した。

　「大丈夫ですか」。黒岡さんは声をかけて女性の腕を抱え、説得しようとしたが、振り払われそうになったため１１０番。「誰か来て！」と叫んだ直後、女性は黒岡さんの腕をすり抜け、柵を乗り越えて海に飛び込んだ。

　黒岡さんの叫び声に反応して自宅にいた古味さんも駆け付け、迷わず海に飛び込んだ。幸いにも水深は浅かったため、女性を肩に乗せ、駆け付けた葺合署員とともに陸へ引き上げた。女性にけがはなく、ほかの住民もロープや網、タオルを抱えて多く集まっていた。

　同署での伝達式では、植田賢治署長が「助け合いの輪を広げていってほしい」とあいさつ。黒岡さんは「ちゅうちょするが、助けを呼ぶことは本当に大切だと思った」と話し、古味さんは「黒岡さんが声をかけ続けた上に、住民同士の連携があって助けることができた」と振り返った。（竜門和諒）