こたつ布団、タブレットケース、マグカップ…。自宅内のあらゆる所に置かれたアイテムにあしらわれているのは、王子動物園(神戸市灘区)の人気者、ジャイアントパンダのタンタン(旦旦、雌、27歳)だ。
「以前はグッズが少なかったんで、自分で作った物もあります」。同市西区の主婦尾崎真由美さん(58)はにっこり。「うーん、1万点ぐらいでしょうか」
もふもふした体、ちょっと短めの手足、口角が上がった笑顔。愛くるしさ満点のタンタンだが、心臓疾患の治療のため、3月中旬から一般観覧はお休み中。中国への返還も来年末まで1年間の延長が決まった。
「今日も生きてくれているだけでうれしい」。尾崎さんは、会えなくてもパンダ舎に通い続けている。「この奥にタンタンがいる」と思うだけで姿が浮かぶ。
なぜ、そこまで? タンタンは、かわいいだけではない。尾崎さんの人生を温め、ほぐし、支えてきた。
□
尾崎さんがパンダと出合ったのは8歳の時。東京・上野動物園にカンカンとランランがきたというニュースを見て、雷に打たれたかのような衝撃を受けた。
「こんなにかわいい生き物がいるのか」
同市灘区で育った。王子動物園は親しんだ所だったが、パンダはいない。それが残念で仕方がなかった。
1995年、神戸を阪神・淡路大震災が襲った。当時、尾崎さんは5歳、1歳の娘2人と、生後3カ月の長男を育てていた。生まれ育った町の風景は失われ、神戸港で働いていた父は仕事ができなくなった。
心が晴れない中、大ニュースが飛び込んできた。
「神戸にパンダがくる」
感激で言葉もなかった。
2000年7月、タンタンは王子動物園へ。ともに歩む日々が始まった。
□
同市中央区・三宮で営業の仕事をしていた頃は、休み時間にパンダ舎を訪れた。「5分だけ、顔を見に来たよー」。悩んでいても、タンタンに会うと吹っ切れた。
一方で、タンタンは03年から人工授精に挑戦。08年に待望の赤ちゃんを出産したが、4日目に死んだ。10年、パートナーの2代目コウコウも天国へ。「タンタンはつらい経験をした。だから、痛みに共感してくれる気がする」
タンタンはどんどんファンを増やし、神戸に人を呼び込んだ。同園の動物の中で人気はいつもダントツ。誕生日には祝う人の列ができた。
観覧中止が決まったのはそんなさなか。最後に近くで会った時、名前を呼ぶと、タンタンが寄ってきた。ガラス越しに背を向けて座り、「なあに」というように振り向いた。「大丈夫。飼育員さんも獣医師さんもついてる」。泣き崩れんばかりに撮った写真はぶれてしまった。
尾崎さんのように、会えなくてもパンダ舎を訪れる人はほかにもいた。「近くにいたい」と東京など遠くから神戸に移住したファンも。
またタンタンと再会できたら、尾崎さんは必ず伝えようと思っている。「会いたかった。大好きだよ」
■
異国情緒、夜景、スイーツ…。多様な特色が知られる神戸だが、魅力はまだまだ奥深い。じわりとウィズコロナが浸透し、人の動きが戻りつつある2022年暮れ。まちに味わいや輝きを与える「推し」なモノ、スポットなどをゆかりの人々と巡りながら、新しい年を迎えたい。

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