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鉄人28号のモニュメント前で集合写真を撮る参加者ら=神戸市長田区若松町6
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鉄人28号のモニュメント前で集合写真を撮る参加者ら=神戸市長田区若松町6
震災時に長田区で起きた火災についての話を聞く参加者=神戸市長田区本庄町2、大国公園
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震災時に長田区で起きた火災についての話を聞く参加者=神戸市長田区本庄町2、大国公園
土地区画整理事業で作られた水笠通公園の説明を聞く参加者ら=神戸市長田区水笠通2
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土地区画整理事業で作られた水笠通公園の説明を聞く参加者ら=神戸市長田区水笠通2

 1995年の阪神・淡路大震災で大きな被害を受けた神戸市長田区を舞台に、復興の足取りをたどるチャリティーイベント「こうべあいウォーク」が15日にあり、兵庫県内外から約150人が参加した。震災前の94年12月に生まれ、「震災を知らない世代」と言われる入社6年目の記者(28)も一緒に歩き、住民の被災経験や、区画整理事業で変わった街並みの説明に耳を傾けた。

 NPO法人神戸まちづくり研究所などでつくる実行委員会が、99年から毎年開く。新型コロナウイルスの影響で2年前からオンラインでも配信している。

身近な痕跡

 午前9時半。集合場所の大国公園(同区本庄町2)に、参加者が集まった。リピーター、学生、地震被災地の東北や熊本県から来た人も。さあ出発、と思いきや、案内人の小林郁雄さん(78)が「奥にある火事で焼けた外灯が見えますか」と声を上げた。ひしゃげた外灯が1本。「公園の西側は無事だったが、東側は全て燃えた」。身近な業火の痕跡に、言葉が出ない。

 前半に訪れた若松鷹取公園(同区若松町11)では、プロゴルファー古市忠夫さん(82)が待っていた。元地元自治会長で震災時は消防団員。「生きた人が火災に巻き込まれて亡くなった。地獄です」と声を絞り出した。

 龍谷大3年の女子学生(21)は「熱心に継承活動する人は高齢者が多そう」。今後どう継続するのだろう。女子学生(21)と一緒に考え込んでしまった。

復興事業を経た地域

 土地区画整理の対象となった鷹取東第1地区へ。案内人の辻信一さん(73)が電柱を指さし、「電線が無いでしょ」。同地区は電信柱上に変圧器を設置する「ソフト地中化」を導入している。広い道路に沿って画一的に住宅や商店が並ぶ景色はきれいに復興した町そのものだ。「東に行くと自力再建した地域。比べると違う」。確かに、どこか懐かしい空気が残っていた。

 震災後、再開発が進んだ新長田駅周辺。震災時の火災で約9割の店が焼失した大正筋商店街で、茶販売店「味萬」(同区久保町6)を営む伊東正和さん(74)は「全部焼けて借金だけが残った。つらかったが、地域のお客さんが優しく声をかけてくれたから一日でも長くこの町でやっていこうと思った」と振り返った。

 同駅前の若松公園(同区若松町6)で、復興のシンボルとしてできた「鉄人28号」原寸大モニュメントを見上げた。2028年度には、同公園に市立医療センター西市民病院の移転新築が予定される。環境が変わる中、震災の教訓をどうつなぐべきなのだろう。

 午後0時半ごろ、地域交流拠点「ふたば学舎」(旧二葉小学校、同区二葉町7)にゴール。ぜんざいが冷えた体を温めた。東北大大学院工学研究科1年で都市・建築学を専攻する女子学生(23)は「町を直すのは大切だが、コミュニティーとしての路地など残すべきものにも焦点を当てる必要があると思った」。

 素直にうなずけた。

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