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亡き弟を思って竹灯籠に火をともす豊島美貴子さん=17日午前9時9分、東遊園地
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亡き弟を思って竹灯籠に火をともす豊島美貴子さん=17日午前9時9分、東遊園地

 「何年たっても悲しい。慣れないものやね」

 神戸市中央区・東遊園地の慰霊と復興のモニュメント。同市東灘区の豊島美貴子さん(71)は、弟鶴田前治さん=当時(41)=の名を壁の銘板に見つけると、目を腫らした。

 活発な美貴子さんと違い物静かな前治さん。よく美貴子さんの子どもをかわいがってくれ、優しく頼りがいのある弟だった。

 美貴子さんは、夫や子どもと4人で暮らす同区のマンションで、激しい揺れに襲われた。ドアがゆがんで開かず、家から出られなくなった。前治さんは歩いて5分の所に住んでいた。「助けに来てくれる」と待ったが、現れなかった。

 高校2年の長男が3階から雨どい沿いに外へ出て、前治さんの様子を見に行った。アパートはぺしゃんこだった。がれきの山から親族らで引き出した前治さんの体は冷たくなっていた。

 前治さんの遺体は泥だらけだったが、そのまま火葬された。「あの時、何もできなかった。だからきれいにね」。この日、そっとティッシュを取り出し、銘板を拭き続けた美貴子さん。「みんな頑張っているから安心してね」と手を合わせた。

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