神戸・北野の結婚式場・レストラン「北野ガーデン」が１２日を最後に営業を終える。千坪（約３３００平方メートル）を超える庭園を構え、異人館街のランドマーク的存在。収益の柱だった広い庭を見渡せる婚礼が、新型コロナウイルス禍で約２年前から休止に追い込まれ、需要回復が見込めないとして閉館を決めた。

　持ち帰り弁当チェーンの「本家かまどや」（神戸市中央区）が所有し、２０００年にオープンした。汽船会社オーナーの邸宅だったが、約４０年前にファミリア（同）が買い取り、店舗兼カフェを営業。「地域の活性化に役立てる」との条件でかまどやが譲り受けた。

　広々とした庭園が敷地の大半を占め、レストランからの眺めが人気を集めた。芝生広場の周囲には、柳や松などの庭木を配し、能やチャリティーイベントでも親しまれた。

　これまでに３３００組以上が挙式したが、１１年をピークに婚礼需要は減少。婚姻件数の減少、婚姻届のみで挙式しない「ナシ婚」の増加などを背景に収益は目減りしてきた。そこへコロナ禍が直撃し、２０年１１月を最後に婚礼事業を休止し、レストランも時短営業を強いられた。

　閉館を知ったなじみ客が連日訪れ、レストランは最終日まで予約でほぼ満席。佐藤博至支配人（４９）は「残念だと涙されるお客さまもおり、ありがたくも申し訳ない」と肩を落とす。

　閉館後の活用法は未定だが、かまどやの岩根圭児経理部長（５４）は「地域が明るくなるような方法を探したい」と説明。庭木の手入れは当面、継続するとしている。