工事現場の壁面にそびえる高さ約５メートルの石柱。まるでレトロな西洋建築の一部のようで、不思議な雰囲気を醸し出している。構造物の正体はいったい…。（風斗雅博）

　工事現場は湊川公園（神戸市兵庫区）の敷地内で、今年１月に移転した兵庫署湊川交番の跡地（同区荒田町１）。建物の撤去作業でこれまで長らく隠れていた壁面が出現した。

　石柱はくびれがある形状で独特の装飾が施されているように見える。用地を管理する同市中部建設事務所によると、石柱は内部が空洞だったことや近くに排水マスがあったことから「排水管の跡のようです」と指摘する。

　同公園は、１９１１（明治４４）年に開設。その後、神戸有馬電気鉄道が２８（昭和３）年に湊川駅を新設した際、公園も改修されている。同事務所は「当時の駅舎や周辺の意匠に合わせて作られたのでは」と推測する。

　日常の街中に突如現れた往時の面影。行き交う人たちに、公園がたどった歴史の一端をうかがわせている。同事務所によると、跡地の今後の活用は未定だという。