「新チームから監督をやる平田です」
昨年7月14日。神戸村野工業高校(現・彩星工科高、長田区五番町8)の会議室で、平田徹(40)は、硬式野球部の1、2年生約20人と初顔合わせをした。
同校に赴任して3カ月あまり。部の顧問だったが、3年生が引退し、新チームが始動するこの日まで指導を控えていた。
「質問はある?」「聞きたいことは?」。平田の問いかけに、手を挙げる部員はいない。新たな監督を前にし、部員たちの表情は硬かった。
「ぼちぼちやるか」と気負わず、監督としてグラウンドで指揮を執り始めた平田。前任監督が同姓だったこともあり、すぐに「とおる先生」と呼ばれるようになった。