瓦せんべいは開港まもない神戸で誕生した。砂糖や卵など欧風菓子の材料を伝統のせんべい製法で焼き上げた逸品だ。徐々に西洋の文化に触れ始めた神戸っ子には、瓦せんべいの洋風の味わいは新鮮だったはず。もっとハイカラな商品名でも良さそうなものだが、その「元祖」として知られる亀井堂総本店(中央区元町通6)の初代、松井佐助は、なぜ「せんべい」と名付けたのだろうか。
「瓦せんべいの材料はカステラと同じ。食感はクッキーに近いから、当時、瓦クッキーと名付けていてもおかしくなかった」。5代目店主・松井隆昌さん(36)は笑う。