阪神・淡路大震災の発生から30年の節目に、神戸市中央区に本社を置くラジオ関西と「Kiss FM KOBE」のラジオ局2社が手を携え、震災を巡るさまざまな人の思いを記録して伝える番組「REC KOBE(レック コウベ)1995」を17日にスタートさせる。
30年前のこの日、自らも被災した二つのラジオ局が、震災経験者に当時やこれまでの歩みを振り返ってもらったり、未経験者に感じていることやこれからの行動について話してもらったりして、音声をアーカイブ化しようと企画した。
初回放送に向け、大丸神戸店の林美結さん(27)がラジオ関西で収録に参加した。
同店は本館の売り場の約3分の2を失う被害を受けたが、当時の社長の「大丸神戸店の灯は消さない」という号令を受け約3カ月後に部分的ながら再オープンを果たした。経緯を紹介した林さん自身は、震災を経験していないが「被害とそれをどう乗り越えたか、神戸の未来のため語り継ぐ必要がある」と考え、先輩に尋ねるなどしたという。
初回はラジオ関西パーソナリティー三上公也さん、Kiss FMサウンドクルー藤原岬さんが出演し、林さんのほか、豚まん店「老祥記」の曹英生さん、歌手平松愛理さんらの声を放送する。
制作に携わるKiss FMの大竹江理子さん(54)は発生当時、風邪をひいて点滴のため入院したといい「大変な時に多くの人に迷惑をかけたが、伝える機会がなかった。それぞれが抱えて言えなかった出来事も記録として残したい」と思いを語る。
ラジオ関西ビジネスソリューション局の青木達也さん(42)は「声を通して聞く人が気持ちを想像できる。ラジオだから伝えられる震災への思いがあるのでは」と話している。
初回は午後3~4時、両局では初めてという同時生放送で実施する。今後も月1回収録を続けて1年間、両局の番組やCMで発信する。(船田翔太)