兵庫県三木市の現代作家、高田哲男さんの作品を集めた「高田哲男展 ドローイング&アーツ」が8日、同市上の丸町の市立堀光美術館で始まる。インクボールペンで描いた緻密な線画を中心に68作品が並び、独特の世界観が見る人を魅了する。
高田さんは美術系の専門学校を卒業後、デザイン会社に就職。退職後、本格的に創作活動を始め、三木市展市長賞や兵庫県展県知事賞などを受けた。市美術協会に所属している。
会場には、線画やアクリル画のほか、性質や種類の異なる素材や技法を組み合わせた「ミクストメディア」といった作品を展示。インクボールペンのみで記した「CRY-SIS クライシス」では、はりつけになったキリストの背景に、過激派組織イスラム国(IS)の被害者と、ISメンバーの顔や目をモザイクのようにあしらった。
「流血の様子を収めた写真は、グロテスクで目を背けるが、モノクロの絵にすると見ることができる」と高田さん。「接する機会がなくなると人は忘れてしまう。作品に残しておきたかった」と説明する。
ほかにも、独特な柄の中で漫才師の夢路いとし、喜味こいしを描いた絵などがある。高田さんは「見たままを感じて、絵から物語を連想してみて」と話す。
31日まで(祝日除く月曜と12日は休館)。午前10時~午後5時(入館は午後4時半)。無料。同美術館TEL0794・82・9945
(篠原拓真)
