昭和30年代の里山環境を復元しようと職員らが立ち上がった三木山森林公園(兵庫県三木市)。外来種を駆除し、芝生広場をかつての草原に戻す取り組みなどが奏功し、カヤネズミやニホンアカガエルといった多様な生物が定着した。四季折々の原風景にいぶく命をファインダー越しに紹介する。
■ススキ草原で巣確認
三木山森林公園(三木市福井)のススキ草原に、毛糸玉のようなものが見える。地上から1メートルほどの高さにつくられたのは、日本で一番小さいネズミとされる「カヤネズミ」の巣だ。
ススキなどを利用して巣をつくるカヤネズミだが、近年は土地開発などに伴って数が減った。同公園で巣が発見されたのは2015年ごろ。昭和30年代の里山環境を復元しようと、芝生を草原に変える取り組みなどが実を結んだ。
個体そのものは確認されていないが、昨年末の調査では、9個の巣が見つかった。同公園管理事務所の男性(69)は「それだけ自然が戻ってきたということ。珍しいネズミの暮らしを、そっと見守ってほしい」と願っている。(大橋凜太郎)
