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パソコンに表示される修理を求める画面(兵庫県警のホームページより)
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パソコンに表示される修理を求める画面(兵庫県警のホームページより)
特殊詐欺対策について語る三木署の内藤智広生活安全課長=同署
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特殊詐欺対策について語る三木署の内藤智広生活安全課長=同署

 「詐欺にあったんや…」。電話口から京都府内で1人暮らしをしている父(69)の弱々しい声が聞こえた。パソコンの修理名目で電子マネー5万円分をだまし取られたという。突然の一報に記者(29)もどうすればいいか分からない。警察担当としてこれまで何度も特殊詐欺被害の記事を書いてきたのに…。ショックを受けつつ、あらためて被害防止のポイントを兵庫県警三木署に取材した。(長沢伸一)

 父によると、14日午後2時ごろ、自宅のパソコンでインターネットを立ち上げた瞬間に「ウイルスに感染している」と表示され、画面が動かなくなった。記載された番号に電話すると、外国人の男から「修理には電子マネーで5万円が必要」と指示された。外国人が応対したことに、父は怪しさを感じつつも「パソコンはインドや中東の方が日本より進んでいる。それにパソコンの修理なら仕方ない」と思ったという。

 指示されるままに近所のコンビニで電子マネーのカードを購入。自宅に戻ってパソコンで利用番号を打ち込んだ。この時点で5万円分の電子マネーは相手方に渡ったことになる。だが、画面にはエラーが表示された。直後に電話があり、男はさらに5万円を要求してきた。父はここで詐欺と気付き、警察に通報した。

    ◇

 「それは、電子マネー型の特殊詐欺の典型的な事例ですね」。記者の話を聞いた三木署の内藤智広課長が丁寧に応じてくれた。

 三木市内でも、7月末まで特殊詐欺被害が8件発生し、被害額は計594万円に上る。うち3件がパソコンの修理を名目に電子マネーを要求する手口だった。

 内藤課長は「パソコンに修理画面が出た時は慌てず画面を閉じてください。絶対に表示された番号に電話をしてはいけません」と忠告する。最初は低額な要求から始まり、何度も電子マネーの購入を求めてくるといい、「詐欺グループは雪だるま式にだまし取っていく。電話をつなげたままにして要求を続けるなど、考える時間を与えない」と手口を説明する。

 市内では9月に還付金名目の特殊詐欺が2件発生。三木署では警察官が地域内をパトロールした際、還付金詐欺への注意を促す文章を記したカードを配布し、注意を呼び掛ける。内藤課長は「還付金の場合、気付かないまま無人の現金自動預払機(ATM)に誘導されていることが多い。防犯機能付きの電話にするのも有効な手段」とする。

    ◇

 詐欺被害にあった夜、父は電話口でうなだれていた。「自分がだまされるわけないと思っていた…」。憔悴(しょうすい)する肉親に何と声を掛ければよかったのか、正直分からなかった。

 三木署の内藤課長はこうアドバイスしてくれた。「被害を受けた本人は相当なショックを受けて気落ちしておられる。周囲の人は責めてはいけない」

 ただ、特殊詐欺は再び狙われるケースが少なくないという。課長は続ける。「一番の対策は普段からのコミュニケーション。離れて暮らす家族への声掛けが被害を防ぐことになる」。特殊詐欺の手口や被害の状況を知っていれば抑止につながると説く。

 特殊詐欺被害や啓発記事を数多く書いてきたが、父と詐欺について話したことは一度もない。父が被害にあうまで自分には関係ない世界の出来事と思っていた。だが、特殊詐欺は本当にすぐそばに存在した。きょう20日は「敬老の日」。実家への1本の電話が被害を防ぐかもしれない。

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