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65年間コロッケ店の調理場に立ち続け、娘の弘子さん(後列右)や、ひ孫らと記念写真に納まる藤井みよ子さん(前列左)=三木市福井2
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65年間コロッケ店の調理場に立ち続け、娘の弘子さん(後列右)や、ひ孫らと記念写真に納まる藤井みよ子さん(前列左)=三木市福井2
閉店の日もいつも通りコロッケを作ったみよ子さん=三木市福井2
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閉店の日もいつも通りコロッケを作ったみよ子さん=三木市福井2
閉店の感謝を告げるメッセージ=三木市福井2
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閉店の感謝を告げるメッセージ=三木市福井2

 揚げたてのコロッケで多くの市民に愛された「藤井コロッケ店」(兵庫県三木市福井2)が13日閉店した。1956年5月の開店から65年間、営業を続けてきた名店。店を切り盛りしてきた藤井みよ子さんが95歳になり、区切りを付けた。「商売人になるとは思わなかった。自分でもようやったと思う」とみよ子さん。万感の思いを胸にのれんを下ろした。(長沢伸一)

 店のルーツは戦前にさかのぼる。みよ子さんの夫の両親は神戸駅(当時)近くの宇治川商店街でコロッケ店を営んでいたが、空襲に遭い、知り合いを頼って三木へ。義父が会社勤めを定年退職した後、56年に「藤井コロッケ店」を創業した。

 みよ子さんは義父母と営業初日から調理場に入った。コロッケを揚げ始めると、周囲に香ばしい匂いが立ち込めていく。店のそばを走っていた国鉄三木線(当時)の三木駅を降りたお客さんや、そろばんなどの塾帰りの子どもが次々やってきた。別所駅までの電車賃でコロッケを買い、歩いて帰った人もいたという。

 当時のメニューはコロッケと串イモなど。「しゅうとさんは『子どもさんがコロッケ1個でも買いに来られるように』と。今も1個のお客さんを大事にしてます」とみよ子さん。

 40年ほど前からみよ子さんの長女弘子さん(69)が手伝うようになり、親子2人で店を切り盛りしてきた。ミンチカツやチキンカツもメニューに加わったが、人気はやっぱりコロッケ。毎日200個を作り、売り切れない日はほとんどなかった。

     ◇

 閉店を決めたのはつい最近のこと。弘子さんは「おばあちゃん(みよ子さん)も95歳。そんな時に油や包装紙、材料が更新の時期になったんです。まだ元気なうちに終えようと思いました」と説明する。

 常連客に伝えたのも閉店の3日前。会員制交流サイト(SNS)や口コミで広がり、予約が殺到した。来店者の中には「神奈川県に単身赴任している夫が食べたがっているので、今から持って行ってきます」という人もいた。

 閉店前日に偶然訪れた女性(72)は突然の知らせに「30、40年ぐらい来てるかな。濃いめの味がおいしくて…。今日来られて良かったわ」とさみしげだった。営業最終日はコロッケの予約だけで300個以上になった。

 「長いこと、ご苦労さんでした。おばあちゃんお元気で」。常連客からの声を受けながら、最後の日も65年前の初日と同じように調理場に入ったみよ子さん。「たくさん惜しんでもらって辞められる。みなさんのおかげで続けることができました」と花束を手にほほ笑んだ。

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