Jリーグ1部ヴィッセル神戸の新人で兵庫県三木市出身の坪井湧也選手(22)がプロの一員になった。神戸市内で開かれた新加入選手発表会に出席し、憧れのクラブのユニホームに袖を通した。背中には「28」の番号。少し緊張した様子でマイクを握り、「1年目だが、遠慮せずにクラブの勝利とアジアナンバーワンという目標を達成できるように全力で戦いたい」と気持ちを新たにした。
発表会は16日にあり、三浦淳寛監督らと登壇した。新加入選手として紹介され、元日本代表の槙野智章選手や横浜Fマリノスから移籍した扇原貴宏選手らとともにあいさつした。
新加入の感想などを問われた坪井選手は「幼いころから大好きなクラブに加入できてうれしい。ユースから昇格ができずに悔しい思いをしたので、大学(中央大)4年間でなんとしてもヴィッセル神戸に戻るという思いだった」と自身の歩みを振り返った。
会場最後列では、坪井選手の両親も様子を見守った。代表クラスの選手と並ぶ姿に父親の憲司さん(55)は「より(プロになったという)実感が湧いた」と喜び、「ここからがスタート。けがなく活躍し、チームに欠かせない選手になってほしい」と期待を寄せた。
3人兄弟の末っ子として生まれた坪井選手は、兄の影響を受けてサッカーを始めた。ヴィリッキーニ自由東SC、自由が丘中サッカー部と進み、高校時代はヴィッセル神戸のユースチームに所属した。
ユースは能力の高い選手が集まり、公立中出身の坪井選手は当初、レベルの違いに苦しんだ。自宅でもトレーニングを続ける姿を見ていた母純子さん(54)は「汗でぼとぼとになるまで家で筋トレをしていた。サッカーに関しては努力家だと思う」と目を細める。
「家族旅行はサッカーの遠征試合の応援だった」と、これまでを懐かしむ憲司さんと純子さん。プロ選手として一歩を踏み出した坪井選手に「いろんな人のおかげでここまで来た。感謝を忘れずに」と言葉を贈り、「わが子の夢を、まだ一緒に追える。親として幸せなことだと思う」と笑顔で話した。(篠原拓真)
