自家焙煎(ばいせん)のコーヒーを提供するカフェ「岡田コーヒーストア」(兵庫県三木市別所町小林)が、酒米山田錦の玄米を使ったカフェインレスの飲料「わたしにやさしい米(マイ)リラティ」を開発した。健康のためカフェインを控えている人や妊娠、授乳中の女性でも安心して楽しめる。(小野萌海)
同店は2011年にオープン。岡田英敏さん(59)、香恵(かえ)さん(55)夫婦が営み、ブルーマウンテンやモロカイなど世界各地のコーヒーを味わえるほか、コーヒー豆の販売も行っている。
カフェインレス商品の開発は、香恵さんの体調がきっかけだった。15年ほど前から不眠に悩み、医師から午後6時以降はカフェインの摂取を控えるように言われた。コーヒーを飲まなければ寝付けたが、どこか物足りなかった。カフェインを取り除いた「デカフェ」のコーヒーは価格が高く味も楽しめなかったという。
「おいしいカフェインレス飲料を作れないか」。茶葉と米を合わせた玄米茶にヒントを得て、デカフェのコーヒー豆と山田錦のブレンドを思い付いた。
香恵さんのアイデアを形にしたのが焙煎士の夫英敏さん。山田錦のクリアな味わいに合わせて99・7%カフェインを除去したデカフェのコーヒー豆、山田錦のもみ殻、甘酸っぱいクコの実、甘みのあるカカオニブをブレンドした。コロナ禍で需要が減る山田錦を支え、捨てられてしまうもみ殻の再利用にもつながった。
店でも大豆などの代用コーヒーを飲む客から「味を楽しめない」との声も聞かれ、焙煎士として「健康のために薬のように飲んでもリラックスできない。体に良くておいしく、リラックスできるものにしたい」と、手作業で材料を吟味し、1年をかけて商品化した。
「リラティ」は今月12日から発売。「少し時間がたつと、米の甘みでやわらかい味になりますよ」と英敏さんの説明を受けながら、多くの客が口にした。
妊娠、授乳中の女性やカフェインを控える人におすすめで、商品名「わたしにやさしい米(マイ)リラティ」は「自分自身のケアのために飲んでほしい」との思いから名付けた。香恵さんは「カフェインがほぼゼロという安心感がある。自分のような人が飲んでほっとしてくれたら」と話している。
店内では1杯700円。ドリップ用の粉は100グラム890円(いずれも税込み)で店頭やオンラインで販売。火金曜休み。月水木土曜は午前11時15分(日曜正午)~午後6時。岡田コーヒーストアTEL090・8988・0089
