生大麦粉などを販売する「こなや」(兵庫県三木市志染町西自由が丘1)が、市内の農地でビールの主原料となるホップの栽培に挑んでいる。100%三木産の地ビール製造を目指す同店。初挑戦の昨年は、土作りや水の量の調整に苦心し、うまく発育しなかった。今年は土壌改良した畝に60株の苗を植え、店主の垂井健さん(74)は「去年の失敗の反省を生かして、いいホップを育てたい」と意気込む。(長沢伸一)
垂井さんは10年前に「こなや」を開業。当初は九州から大麦を仕入れていたが、客から農薬の有無を尋ねられ、7年前から市内の農地で大麦を育てるようになった。地ビールの製造にも取り組み、3年前に明石の地ビール店に依頼し、クラフトビール「ハル」を醸造した。既に第5弾までがほぼ完売する人気という。
「100%地元産のクラフトビールの提供」を目標に、昨年ホップの栽培を開始。ホップは5~6メートルの高さまで成長するため、三木市志染町戸田の農地に鉄パイプの支柱を組み合わせてやぐらを設置し、100株の苗を植えた。ところが、土作りがうまくいかず、半分ほどが枯れてしまった。
今年は、ホップの苗を植えるために、約50センチの畝を作った。土壌改良に用いる石灰の量を場所ごとに調整。また、水の確保のためそばに池を掘った。今後、ドジョウやメダカの稚魚を放ち、渡り鳥が訪れるような自然豊かな空間を目指すという。
垂井さんの挑戦を後押ししようと、志染町戸田で里山整備に取り組む鈴木昭彦さん(43)と田中秀則さん(57)がサポート。鈴木さんは今年から三木市に移住し、苗植えや土壌改良などを手伝っている。
鈴木さんは「去年の失敗を見ていて、諦めずに挑む健さんの情熱に引かれた。三木の地ビールが生まれる瞬間を見たい」と期待。垂井さんは「自分が楽しいからやっている。自分で作ったホップのビールが飲めるのが待ち遠しい」と作業に精を出す。
