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電話で寄せられた相談に対応する岩崎吉男さん=三木市久留美
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電話で寄せられた相談に対応する岩崎吉男さん=三木市久留美

■試験に10回落ち続けても挑んだ岩崎吉男さん(64)

 特許や商標登録など知的財産の出願に携わる弁理士事務所を兵庫県三木市久留美に開いて10年。電話やメールには毎日、中小企業や個人事業主からの相談が舞い込む。昨年には商標登録出願件数を基にした事務所ランキングで関西1位に輝いた。「全国や海外とも全てネットと電話でやりとりできる。田舎でも大手と勝負できるんです」と自負する。

 旧職は神戸電鉄に勤務する技術者。駅の無人化などのプロジェクトを担当した。「自分で何かをやりたい」と、19年勤めた会社を辞め、技術士の資格を生かせる弁理士を目指した。

 学習塾やホームページ制作会社を立ち上げて生活の糧を得つつ、弁理士試験に挑んだ。10回続けて落ち、最後と臨んだ11回目で口頭試問を突破した。

 弁理士事務所の多くは東京や大阪の都市圏に集まり、地方の事務所は2割に満たない。「困っている中小企業や人はどこにでもいる」。三木市で事務所を開くことに迷いはなかった。

 当初は月に2、3件の相談からスタート。リピーターや紹介などで、次第に相談は増えていった。

 「有名アイドルグループと同じ名前の商標を取りたい」。事務所を立ち上げて3年ほどたったころ、こんな依頼を受けた。「無理では…」と思いつつ依頼者の要望は強かった。グループに連絡すると、予想外に許可が下りた。「著名なグループに田舎の事務所でも相手にしてもらえると分かった」と視野が広がった。

 10年で手がけた案件は5千件以上。近年はインターネットの通信販売の普及により、商標登録を行う個人事業者が増え、トラブル相談も多い。中には「著作権侵害と言われてネット販売ができなくなった」という悲痛な叫びが届く。販売実績などの資料を集めて大手ネット販売サイトの運営会社に文書を送り、停止解除につなげるよう尽力する。

 依頼者とのやりとりは電話とメール、資料収集や図表の作成はパソコン…。全てが三木市の事務所で完結する。「田舎だから経費も安い。ここで仕事は十分できるんですよ」。受話器を持つ顔に充実感が漂う。(長沢伸一)

【記者の一言】三木高校のアメリカンフットボール部初代主将。大学生並みの厳しい練習を繰り返し、3年生で全国大会に出場した。「あの練習を乗り越えられたんだから、大人になってからの苦労も大したことない」と豪快に笑う。東京や大阪の事務所に負けないパワーの秘訣(ひけつ)を感じた。

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