三木

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国内外で講演活動を続け、平和を訴える近藤紘子さん=三木市
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国内外で講演活動を続け、平和を訴える近藤紘子さん=三木市
子どもたちに原爆の恐ろしさを語る近藤紘子さん=2018年、宝塚市内
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子どもたちに原爆の恐ろしさを語る近藤紘子さん=2018年、宝塚市内

 広島に原爆が投下されて6日で77年。被爆者の高齢化が進み、減少が続く。戦争を知らない世代が次世代に伝える時代が近づいている。生後8カ月の時、広島で被爆し、国内外で平和の大切さを訴え続けている近藤紘子(こうこ)さん(77)=兵庫県三木市=は「経験がなくても戦争、平和を考えることはできる」と語気を強める。(聞き手・長沢伸一)

 -近藤さんは原爆が投下された日、爆心地から1・1キロの広島流川教会の牧師館にいた。父は被爆者救済に奔走した谷本清牧師。戦後、多くの孤児たちを迎え入れた。

 「生まれて8カ月だったので、1945年8月6日の記憶はありません。当時は孤児院に入れない子どもがたくさんいた。父は、教会で原子爆弾によって孤児となった子どもたちを受け入れていました」

 「私をかわいがって髪をすいてくれたお姉さんの指は(やけどで)引っ付いたままでした。『広島に1発の爆弾が落ちたの。いいなずけがいたけど、こんな体になったの』と話していました。物心が付いたばかりの時で『大人になったらこの敵は絶対討つ』と思っていました」

 -10歳の時、原爆を投下したエノラ・ゲイの副操縦士と出会った。敵と思っていた人間が涙を流した。

 「父は原爆で顔や体にやけどを負った女性を治療するためにアメリカに渡っていました。講演で全米を回っていた父を取り上げる現地のテレビ番組に出演するために私もアメリカに行きました。反対側の舞台袖に見たことのない男性がいました。広島に原子爆弾を投下した『エノラ・ゲイ』の副操縦士、ロバート・ルイス氏でした。『あなたたちがあの爆弾を落とさなければ…』。そう思って私はにらみつけました」

 「番組で司会者が彼に原爆を落とした時の話を聞きました。飛び去った後に再び戻って街の様子を見てくるように指示を受けていたそうです。広島の様子を見て『神様、私たちは何てことをしたんでしょう』と飛行日誌に書いたと。彼の目から涙が伝っていました」

 -かつては「原爆の日の記憶がない」と自身が直接、原爆への思いを語ることは避けていた。

 「生後8カ月だった私は、8月6日の惨状を知っているわけではありません。父からは小さい時から『町内で生き残った赤ん坊はお前1人。将来は広島のため、平和のために役立つ人間になれよ』と言われました。でも父のようにはできないと思っていました」

 「東京で外資系の企業に勤めた後、高齢となった父をサポートするために広島に戻り、『ヒロシマピースセンター』の活動などを手伝うようになりました。30代後半ぐらいの時です。1982年、父が39年勤めた広島流川教会の牧師を退任しました。父は最後の説教で原爆が投下された日の『悔い』を語りました」

 「あの日、父は疎開の手伝いのために小さな山にいました。広島の市街地からは煙が上がり、父は教会を目指して山を走って下りました。父は『娘は、妻は、教会員は、町内の人はどうなった』とばかり考えていたと…。助けを求める声をあちこちで聞きましたが、振り切って走った。自分の回りのことしか考えなかった。それが『悔い』として残っている」

 「私の子どもの頃、父は被爆者救済のためにアメリカに講演に行っていました。『悔い』の思いを聞き、父が働きづめで被爆者と関わってきたのか分かりました。私も父みたいにはできなくても、父が歩んだ道をゆっくりと歩くことはできると感じました。ルイス氏との出会いの話を伝えられるのは自分しかいない、私だから話せることがあると感じたんです」

 -近藤さんは、牧師の夫とともに15年ほど前から三木市で暮らす。戦後77年となり、体験者の高齢化が進む。

 「私は8月6日の記憶がないことがネックとなっていました。でも戦争の記憶や経験がなくても、被爆者と会ったり、親の生き方を見たりして考えたことはある。それぞれの思いから戦争や平和とは何かを考えることはできると思います」

 「おととしから海外の学生を広島に招いて平和教育につなげる計画を始めました。海外の学生にとって広島の地に立つことが大事なんです。多くの子たちが、責められるのではないかと恐れ、広島に行くのを怖いと思っています。平和公園を訪れ、被爆者の話を聞いて自分で平和について考える、それは一生忘れない大切な経験だと思います」

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