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 丹波黒枝豆の収穫がピークを迎えた10月下旬の兵庫県三木市吉川町。ながしお農場の従業員とともに、大学生2人が枝豆をてきぱきと選別していた。日中はアルバイトとして働きながら、地元の食材を楽しんだり、休日には観光したり。人手不足の地域をお手伝いしながら旅行する「おてつたび」。観光でも移住でもない、新たな地域との関わり方として注目を集め、市内事業者が初めて受け入れた。(小野萌海)

 同事業は、県と、働き手を求める農家や旅館などと旅行者をつなぐマッチングサイトを運営する企業が、共同で実施。県は、都市と地方を継続的に行き来する「関係人口」を創出しようと、地域へボランティアを送り込んできた。これまでは県内都市部の40~50代が中心だったが、今回は、全国の学生など10~20代にも幅を広げようと、アルバイトを組み合わせたプランを企画し、県内4カ所で募集した。

 ながしお農場に訪れたのは、長崎大4年の品川真衣花さん(22)=佐賀県=と、安田女子大3年の藤原彩花さん(21)=広島県。1週間の滞在のうち4日間、丹波黒枝豆の傷などをチェックし選別する作業や、イチゴの苗に肥料を入れる仕事に汗を流した。

 休日はバーベキューで従業員らと交流し、地元米や枝豆、播州百日どりなどを堪能。周辺の観光地も巡った。交通費や食費は参加者負担だが、アルバイト代で軽減され、宿泊先は農場が無償提供した。

 2人はそれぞれ個別に応募し、初対面だったが、作業を通じて親交を深めた。人との出会いを求め、初めて兵庫へ来た品川さんは「慣れない作業もきちんと教えてもらい、積み上がった枝豆を見ると達成感があった」と笑顔。地域創生に関心があるという藤原さんは「一緒に仕事をすると親しくなれる。三木は自然豊かで歴史も感じた。楽しくてあっという間だった」と振り返った。

 繁忙期の農家にとってもメリットは大きい。農場の作業主任は「人手が欲しい時期。繰り返しの作業なので、4日間だけでも助かるし、真面目に取り組んでくれた」と感謝する。別のスタッフは「自分の子どもと同じくらいの年頃で、せっかく慣れてきたのにこれきりなのは寂しい。イチゴの季節になればまた戻ってきてね」と名残を惜しんでいた。

 地方の自治体は関係人口の拡大が課題で、市縁結び課は「単なる観光よりも深く人と触れ合うことで、三木のまちや人のファンになり、また来たいと思ってもらえるのでは。他の事業者からもおてつたびを使ってみたいという声はあるだろう」と広がりを期待している。

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